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2007年12月 8日 (土)

イランの脅威、宙に浮く

 12/4に「世界やぶにらみ」という記事を書いた。その書き出しを「このところ海外の動きがあわただしい。それがゆるやかな世界の地殻変動なのか、局地的な現象が偶然重なったのか私にはわからない」とした。

 その例として、オーストラリアで労働党のラッド首相率いる新内閣が3日に発足し、日本と肩を並べていたアメリカ追随から距離を置く政策に変わったことや、アメリカとの友好関係でイラン革命政権からの圧力回避をはかった湾岸6カ国会議に、イランの大統領が招かれたことなどを上げた。

 しかし、そこにアメリカ自体のことが抜けているのでつけ加えたい。やはり3日に、マコネル米国家情報長官がイラン核開発に関する機密報告書「国家情報評価(NIE)」の一部を公表した。それによると、イランは核開発計画を進めていたが、03年秋に中断してその後再開されていない、ということが明記されており、これまでのアメリカのイラン政策に問題を投げかけることになった。

 この報道は、ありもしない大量破壊兵器のニセ情報で、ブッシュ政権がイラク侵攻を開始したことと重ね合わせになる。ブッシュ大統領にとっては、残された1年にどう花道を築くかが課題になっている。これまで、テロとの戦いに「悪の枢軸国」を登場させ、正義と自由を旗じるしに世界の盟主となる道を示すことが、アメリカ国民を引きつけていく道具となっていた。

 イランの核開発に神経質になるイスラエルとアメリカは、ピンポイント攻撃までちらつかせ、イラン革命防衛隊をテロ支援組織に指定して、一部で戦端開始は時間の問題とまで言われるような緊張状態を作った。その一方で北朝鮮のテロ支援国家指定取り消しをスケジュール化し、米国内で中東和平会議を開催して平和に向けたポーズを演出するなど、最後の実績づくりに懸命のようだ。

 それにしても感心するのは、日本で言えば情報大臣と言うべき人が、総理が立ち往生してしまいそうな秘密情報をさらっと言ってのけるスピリットである。もちろん隠された情報も操作された情報も山ほどあるのだろうが、日本のような陰湿さを感じさせないのだ。

 ブッシュは、あきらかに困惑している。記者会見で「(報告は)警告信号だ。なぜなら、彼らは計画を再開できるからだ」(12/5「毎日新聞」)と、強気の姿勢を崩していない。しかし、国連をはじめ国際世論がブッシュの考えに味方することはないだろう。

 米国内でも、民主党の大統領候補の中で、唯一イラン革命防衛隊をテロ集団とする上院決議に賛成したヒラリー・クリントンに対し、オバマ氏をはじめ対立候補から集中攻撃を受け、このところ支持率低下を招いているようだ。こうなると、ブッシュもこれまで通りの戦意高揚演説も効き目がなくなり、日本をはじめ各国に対するプレッシャーも力を失うだろう。

 日本も「テロとの戦い」御幣担ぎをそろそろ卒業し、給油新法案の見直しを考えてもいいのではないか。
 

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