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2007年12月26日 (水)

入門編・戦争とは2

 前回に続けます。日本が国民国家になったのは明治維新からです。その前の日本人は、士農工商といってはっきり身分が決まっていました。ところが徴兵制度ができて、農民も兵役の義務が生じました。年貢(税金)をとられてそのうえ兵役では、ふんだりけったりです。

 それまでは武士は、何石何人扶持などという家禄(給料)がもらえ、たとえ本人が戦死しても功績があれば加増して代々子孫にひきつがれたわけです。そういった物がなくなれば、なにか代わりのものでつぐなわなければなりません。

 それが「名誉」です。北朝鮮やロシアのえらい軍人は、軍服にすきまがないほど勲章をぶら下げています(あまりカッコいいとはいえませんが)。日本もかつてはそうでした。そして、お国のために愛する家族のために貴い命をささげると「靖国神社」に祀られ、天皇が参拝してその栄誉をたたえました。

 前回、憲法や法律ができて国民国家や国軍ができると、軍隊を特別扱いするような法律も必要になる、といいました。たとえば、緊急のばあい道路交通法をそのまま守っていたり、他人の土地に無断ではいれなかったりしていては、敵にやられてしまうでしょう。

 また、命令で敵を殺しても殺人罪で逮捕されることはありませんし、財産をこわしても損害賠償をする必要がありません。反対に、敵の前でこわくなって逃げた場合は「敵前逃亡」といって重罪になります。味方に見つけられて撃ち殺されても抗議できません。敵に秘密をもらすかもしれないからです。

 らちされた曽我ひとみさんの夫、ジェンキンスさんは相当大目にみてもらったけど、こういった軍人の裁判は、一般の裁判所でなく軍主催の「軍法会議」が判決を下します。日本も敗戦前までありましたが、新憲法下の現在はありません。ただし、その他の法律(緊急事態基本法など)が、小泉、安倍政権のもとですこしずつ整備されてきました。

 軍法会議は、どこの国でも敵前逃亡などには厳罰を処し、婦女暴行罪や過失致死罪などには「戦意に影響する」という理由で、不問にするとかおおアマな判決にする傾向があります。つまり公正な裁判ではないのです。

 前回、近代の戦争にもルールがある、といいました。無防備の民間人を射殺するのは原則としてルール違反です。しかし全然守られていません。兵士は極度の緊張のもとにあります。すこしでも動くものを見つけるとネズミでもマシンガンを撃ちまくるといいます。

 また、女性や子供、老人でも銃を隠し持っているかも知れず、正規兵が民間の服装で紛れ込んでいる可能性もあります。戦場では正確な報道がされないため、無条件にみなごろしにすることがあります。日中間で議論のある南京事件でも、こういった弁明をする人がいます。

 その前に、無差別に都市を焼き尽くす空爆、原子爆弾、民間人に被害の及ぶクラスター爆弾など、第一次大戦前にはなかった野蛮な兵器や戦闘が今でも通用していることを、どうしてもやめさせなくてはなりません。こういった爆弾の投下は、殺される相手が見えないのでカッコいい戦争をしている、と思われがちです。

 それは、過去の世界大戦後の反省で生まれた国連などの、当初の精神に立ち返れば、簡単にできるはずです。しかし、拒否権を持つ軍事大国(常任理事国=米露英仏中)が動こうとしません。日本はこういった国の立場に立つのではなく、平和を求める大多数の国の側に立ってほしいものです。

(追記)「戦争とは」のシリーズは、カテゴリ(左帯)を新たに設けました。関連記事はそこでご覧ください。

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