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2007年12月15日 (土)

平和への努力

 4日前の記事「バルカンの悲劇」では、「コソボとセルビアの間に国境線を引きコソボを独立させ、コソボ独立後に隣国アルバニア共和国との国境線をなくしてしまおう、という話である。こんなことが、一滴の血も見ないで実現するものだろうか」と書き出した。

 この地域は、古くは民族の大移動や大規模な宗教戦争通過点で多様な民族、宗教が混在する所であったが、西欧の近代国家の概念が確立した頃から各地域間の抗争が激化し、欧州の火薬庫といわれるようになった。第一次世界大戦もここを発火点にしている。

 ここにまた戦争の種が芽生えているが、住民は戦争を欲しているのだろうか。もちろん全く逆で、どこかの国のように「希望は戦争」などとう若者がいることなど考えられない。しかし、もし相手に唯々として屈服、屈従することが、どんな不幸や悲惨さを招くか、経験則上ぬぐいきれないものがあり、「戦火も辞さず」という姿勢が必要なのであろう。

 毎日新聞の報道によると、EUはコソボ安定のため1600人の警察部隊を派遣するという。EUは、アメリカがその中枢にいる軍事組織NATOとは違い、ボスニア空爆などて手がよごれていない。あくまでもヨーロッパの共存共栄を目指した組織である。警察部隊派遣は、コソボ独立にとって有利に働くが、ヨーロッパとしてもバルカンの不安定が全体に影響なしとはいえない地域である。

 ここは、コソボ、セルビア双方が強い自治権限を持ってEUに加盟し、通貨や国境管理などを含め、双方の垣根を解きほぐしていくしかないのではないか。そのためコソボ側も性急な独立宣言を避け、双方融和の方向を目指してほしい。また将来に向けて、EUの手腕が問われることにもなろう。

 上記に全く関係ないが、同紙の同じ面にクラスター爆弾禁止に関するウィーン会議の参加国数についての記事があったので書き留めておく。コソボにしろ、この会議にしろ日本が全く「お呼びでない」席で、傍観を決め込むしかないのは残念だ。

 07/2 オスロ会議 49カ国(オスロ・プロセス)
 07/5 リマ会議 68カ国
 07/11 ウィーン会議 138カ国

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

アルバニアは実に運の悪い国ですね。
第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、両方とも負けた側(枢軸国側)に付いて、参戦してしまった。
勝ち馬に乗り損ねて、国土が半分以下に成ってしまった。
アルバニア人の半分近くがアルバニア本国ではなくアルバニアの周辺諸国の住んでいる。

良く似た条件の国にハンガリーが有るが,此方は経済が好調で周辺国のハンガリー系市民に旅券を渡し労働力として活用している。
日本のブラジル日系人みたいな話ですね。

一番の問題はやっぱり仕事でしょう。一番ましなコソボへ本国やマケドニアから流入しているが失業率は40%以上。変化(独立)すれば少しは良くなる、と考えるところは赤木君の考えと五十歩百歩。
解決策は一にも二にも経済を良くする事では無いでしょうか。

投稿: 布引洋 | 2007年12月15日 (土) 16時16分

布引洋 さま
まさに慧眼です。楽観論を書いてしまったが反戦へ結論を導かなければならないところがこのブログの宿命なのか?。
アルバニア、この影の薄いイスラム国の運命も気になります。

投稿: ましま | 2007年12月15日 (土) 18時02分

 旧ユーゴから分離独立した諸国の問題で言えばドイツとアメリカの利害対立が民族問題と結びついて拍車をかけていますね。第一次大戦・第二次大戦も列強が自分の都合の良い勢力・民族にテコ入れして問題を複雑化させています。EUの手が汚れていないと言って楽観視するのは少し疑問です。

投稿: アッテンボロー | 2007年12月15日 (土) 22時28分

アッテンボロー さま
前にコメントしているように平和は“楽観論”から出発せざるを得ません。
<ドイツとアメリカの利害対立
不勉強でよくわかりませんが、EUは大戦の厳しい反省の中から生み出した戦争回避の知恵であり、軍事同盟や国民国家ではあのません。セルビアがEU加盟を指向している限り、アメリカやロシアの干渉はできないでしょう。

投稿: ましま | 2007年12月16日 (日) 10時31分

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