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2007年11月22日 (木)

筋金入り

 前回の「日中韓連合に期待」を、政治ブログでは鋭い分析で知られるkojitakenさんの「きまぐれな日々」で紹介していただいた。その前置きに「たいへん信頼できる筋金入りの護憲派ブロガーの方である」とのありがたいご託宣で、ややあわてている。

 実は、復古改憲をねらう安倍政権が崩壊することを最大眼目として続けてきた当ブログの前身「反戦老年委員会」が、安倍放り出し辞職で支え棒をはずされ、政治をどう考えるかに迷いを生じたのは、他のブロガーと同様である。

 「反戦老年委員会」を解散したのは、他に理由もあるが、一旦「目的を達成」したものとしてけじめをつけ、臨戦態勢から解放された「反戦塾」に衣替えをして記事のフリーハンドを得たいという願望もあった。アクセス数の激減も「引っ越しをすれば当然」ということで、新規参入の心構えで望むことにした。

 さて、今日の題はおほめ頂いた「筋金入り」である。すでにご承知の方も多いと思うが、当ブログでは憲法9条を手つかずで置き、自衛隊の存在を前向きに考えて、必要があれば後ろの方の「章」に9条に反しないよう、その活動範囲と任務を明記するという加憲派なので、社・共支持者の方の中からはひんしゅくを買っているかもしれない。

 ここから、前回の続きとなるが、EUに関しては、憲法草案がフランスなどの国民投票で否決されるとか、トルコ加盟で各国の意見が一致しないとか、日本ではマイナスイメージで報道されることが多い。しかし、「だから元にもどそう」などということはあり得ない。

 ヨーロッパ各国は、独仏間にあったような抜きがたい不信感を克服し、域内から戦争の要因をなくして永遠の平和を実現しようという点では、まさに筋金入りなのである。前身ブログを含め、検索をかけたら「欧州連合」で6本、「EC」8本、「EU」では15本のファイルが引っかかった。そこからとりあえず一、二を採録しておく。
 
2005.12.7
EUとアジア

 「読売の社説はどうなの・・・2」というkouhei様主管のブログで、14日からマレーシアで開かれる東アジア首脳会議に関する4日付読売・社説を取り上げられた。この中にある「東アジア共同体」構想への同紙の姿勢について

『「共同体」の形成は非現実的だ。』などと水を差す必要はどこにもないのではないか。

とコメントされている。これについて、最近膨張や憲法制定でブレーキがかかったように見える欧州共同体(EC/EU)ではあるが、通貨統合までなしとげたEC成立に至る歴史を、かつて西日本新聞欧州総局長を経験された小屋修一氏の著書『欧州連合論』~新パラダイム構築への挑戦~をお借りして報告する。(中略:は、ましま注記)

     欧州統合の理念は、ドニ・ド・ルージュヒン
    によれば、美王フィリップの顧問法学者ピー
    エル・デュボアが、欧州の全ての君主に、ト
    ルコ軍に対して団結するように訴えた、一
    連の公開書簡を送った1308年に始まるとさ
    れる。

         19世紀に入ってから、当時、欧州最強の陸
    軍を持っていたナポレオン・フランスに対抗
    するための国際組織結成の動きもあった
    が、国家主権が”不可侵”の権力だと考えら
    れていたその当時は”超国家的”国際組織
    の結成などは思いもよらず、主権への脅威
    が無くなれば、そのような意欲は、たちまち
    雲散霧消した。

     だが、20世紀になると、欧州の統合を促す
    大きな変革が訪れる。それは、欧州を主舞
    台とする二つの世界大戦であった。(中略:
    第一次大戦後、その巨大な人的・物的の損
    害の故に「欧州平和確立のため」の方法論
    として統合が模索されたが、各国の意見不
    一致や経済恐慌到来で挫折した。また、第
    二次大戦では再び悲惨な戦場となり、その
    被害は天文学的数字に達した)。

     とくに、第二次大戦は、『国民国家が、本来
    その任務とする安全保障、経済的繁栄、社
    会的安定を提供することができなくなった』こ
    とを証明し、いわゆる「国民国家」の”神話”
    をうち砕いたのである。(中略:その間、アメリ
    カは連合国の兵器庫となり、空前の経済的
    繁栄を実現、またソ連は東欧その他で領土
    を大幅に拡大するに至った。)

     米ソ二大国の地球的規模での対決・抗争
    のなかにあって、戦後欧州の再建を果たし、
    「冷戦」のなかで一定の発言権を確保するた
    めには、バラバラの欧州ではなく、『統合さ
    れた欧州』『政治的・経済的・軍事的一単位
    としての欧州』が必要であることは、誰の目
    にも明らかであった。(中略:こうして英国の
    政権から離れたチャーチル卿の呼びかけな
    どもあって、欧州連合に向けた組織がぞくぞ
    と生まれるようになった。そのなかで、限定
    的ながら”超国家的”な組織体が誕生した)

         この新しい組織体は、「超国家性」を持つ初
    めてのものとして、人類の歴史上、画期的な
    意義を有する。その組織体とは、CECA(欧
    州石炭鉄鋼共同体)である。この組織体こそ
    現在のEUの萌芽とといっていい。仏、西ドイ
    ツなど6カ国などで条約が締結されたのは、
    1951年4月18日のことである。

         欧州統合の運動に大きな影響を与えた、オ
    ーストリアの元貴族R.N.ド・クーデンホーフ
    ・カレルギー伯は、『6カ国の欧州の記録』発
    刊にあたって、次のように指摘した。

          自由な欧州諸国民を打って一丸とした「欧
    州連合」のみが、われわれの大陸を米国、
    ソ連と新生中国に対し、平等かつ友好的な
    世界各国家に変容させるだろう。それのみ
    が、世界を脅かしている最悪の破局---
    核戦争---から世界を救うことのできる
    「世界連邦」の創設を可能とするものだと考
    える。

 以上にみられるように、(1)非常に長い挫折の歴史があり、それを乗り越え、段階を経ながら今日に至った。(2)時の政権というより、自由人的立場にいる人が推進に貢献してきた(上記のほか、古くは哲学者カントの弟子、メッテルニヒ、文豪ヴィクトル・ユゴーなどの提唱もある)。(3)高い理想と崇高な理念に支えられながら、段階的に経済的なメリットを追求するなど、現実的にことが進められた。ことなどを考え合わせる必要がある。

 日本が、読売社説のように狭量で近視眼的発想に閉ざされている限り、世界の孤児となることを免れ得ないのではなかろうか。 

2005-12-08
「共同体・序章」はるか

 昨日エントリーした「東アジア共同体」構想に関連し、『毎日新聞』が今日から「共同体・序章」と題する特集を開始した。第1回目のタイトルは、<「対米配慮」際だつ日本>、<「広域化」望まぬ中国>、<「靖国」こだわる韓国>で、その内容として、米国、インド、EUなどの思惑が交錯する中、主導権争いだけが先行する混沌とした状況を伝えた。その中でEUと関連する気になった部分の引用をする。

    歴史問題を焦点にした韓国の「多角外交」
    は、すでに始まっている。欧州を歴訪した潘
    基文(パンキムン)外交通商相(現国連総長
    :ましま注)は1日、欧州連合(EU)の本部
    があるブリュッセルで「(EU加盟国で構成す
    る)欧州議会の議員も(小泉首相の靖国参
    拝を)認めがたいという反応をみせた」と述
    べた。歴史問題の解消策としても重大な役
    割を担った欧州共同体(EUの前身)が置か
    れた象徴的な場所での発言は、小泉首相
    の靖国参拝が、中韓だけの問題ではなく、
    ましてや「共同体構想」とはかけ離れた次
    元であることを暗示している。(後略)
    【ソウル堀信一郎】

 EUの反応については、伝聞報道なので正確なところはわからないが、靖国参拝の韓国側の主張を支持したということではなく、共同への大目的を前に、首相の私的な行動で進展をさまたげている事実について、疑義を差し挟んだものと解釈してよさそうだ。

 これを、小泉個人が招いた一時的な現象として見過ごしていいのだろうか。アジアのつまはじき者となり、アメリカへの傾斜をますます深めなければならないようなところへ追い込まれることが、日頃の小泉発言からみて、果たして杞憂といいきれるのだろうか。

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