« 国民戦闘組織 | トップページ | 福田流「新体制」? »

2007年11月 2日 (金)

恒久法は危険だ

 福田首相と小沢民主党代表の会談実現により、自衛隊の海外派遣を規定する「国際平和協力法」といった、時限立法ではない恒久立法を、両党で検討立案するという動きが出始めた。これは、国際平和活動のあり方について、各国の考え方がこのところ流動的であるということと、国内の議論が成熟していないということから、現時点での法制化は反対である。

 私はかねてから、憲法9条(第2章)はそのまま温存し、自衛隊による拡張解釈(解釈改憲)をふせぐため、章をあらためて自衛隊の役割と任務を定める改憲を主張していた。その限りにおいては、自衛隊が海外で国際貢献をする場合の歯止めとなるルールをしっかり決めておくことに反対の理由がない。

 ただ、自民党の頭の中には、小泉政権下の昨年8月30日に起草した「国際平和協力法案」というベースがある。これは、有事法制3法案にはじまり、自衛隊法改正案、防衛省設置法案とつなげてきた、自民党の憲法9条の改正案、つまり戦争のできる軍隊を公認しようという構想の一里塚をなすものである。

 安倍前首相は、官房長官時代からこの路線をひた走ってきた。それが参院選でストップがかかり、公明党の抵抗もあるのでもと通りにはいかないだろうが、民主党内には小沢流の国連信奉主義や自民党以上の軍国主義者もいることから、油断ができない。

 両党が総選挙も視野に入れて、テロ特措法の落としどころにこの法案を考えているとすれば、物のはずみで共同提案されないとも限らない。つまり究極の「解釈改憲法案」だ。この動きはアメリカにとって洋上給油に代えられない贈り物となるだろう。

 わが国の真の国際貢献、つまり宗教対立や民族対立などの地域紛争解消への寄与、社会基盤、医療、環境問題に関する支援、核を含む軍縮、武器輸出の制限などに効果ある貢献をするのか、軍事力行使優先・拡大に寄与するのかを国民が選ばなくてはならない局面にさしかかている。

 この法案は3分の2ではなく、過半数で決められてしまう。よほど腰を据えてこの法案の行方を監視しないととり返しのつかないことになりかねない。安倍退陣を機に「反戦老年委員会」を解散した当ブログだが、ここて改めて警鐘をならしたい。

|

« 国民戦闘組織 | トップページ | 福田流「新体制」? »

憲法」カテゴリの記事

コメント

ましまさま

こんにちは!

「自衛隊海外派遣恒久法」は、「集団的自衛権」の行使にあたる「自衛隊の海外派遣」ですが、
これは国際法から見ても違反です。

1944年の国連憲章原案には「集団的自衛権」の文言はなかったが、ソ連に拒否権が使われるとアメリカが軍事行動ができないと言う事で、45年に「集団的自衛権」が挿入されたそうです。

でも、この集団的自衛権にも個別的自衛権にも制約がかせられていて、

① 急迫不正の侵害があること
  (集団的自衛権の行使は、国連が国連軍を組織して、違法な侵略を 止めるまでの緊急処置である)
② その侵害を排除する上で他の手段がないこと
③ 排除するための実力行使は必要最小限度であること。
 (侵略された場合も、相手を国境まで押しもどすところまでしか認めない)
 
 アメリカによる戦争は侵略戦争で、 上記①②③のどれにも該当しないから、 アメリカのために日本が「集団的自衛権」を行使することはできないのですよね。

それをごまかして、「集団的自衛権の行使」を検討しようという「有識者会議」を開いている自体 国民を騙しています。

投稿: 非戦 | 2007年11月 9日 (金) 17時05分

非戦 さま
しばらくです!。
全くおっしゃるとおりです。アメリカの国連憲章違反は、もはや世界の常識です。しかしそれを裁く仕組みがなく、やめさせる決議も拒否権がある以上不可能です。
テロ対は小沢代表のいうとおり、日本の憲法解釈で違反です。それを新法ですり抜けようとしているわけです。なぜそのようなことができるかというと国連決議がいろいろでており、どうにでも解釈できる余地があるからです。
このようなあやふやな国連決議で、堂々と自衛隊をアフガンに出そうという、小沢国連絶対主義もそれ以上に危険です。

投稿: ましま | 2007年11月 9日 (金) 18時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/8725559

この記事へのトラックバック一覧です: 恒久法は危険だ:

» 恒久法への流れできる? [花・髪切と思考の浮游空間]
「大連立考えず」=衆院選勝利し政権奪取−民主・小沢代表 (時事通信)小沢氏の語るところと末尾に列記した記事を重ね合わせてみると、恒久法への流れができあがってきたようです。曲折はあるかもしれません。でも、小沢氏も恒久法については否定的な立場をとっているわけではない。恒久法をつくることが年来の主張だとのべています。この文脈で考えるならば、国会を無視した福田首相と小沢代表の密室協議では、やはりテロ特措法をめぐっての対応がいちばんの課題だったのでしょう。現に小沢氏は、解散とか連立とか、政局論的な政治問題はな... [続きを読む]

受信: 2007年11月 2日 (金) 16時35分

» 平和省創設初代平和大臣中村哲 [BLOG BLUES]
左派・市民派が結集するブログシーンに於いて、ケッタイな主張が、 まかり通っている。以前からそうであったが、イチローくんの民主党代表 就任以来、闇雲である。護憲を標榜するブロガーが、小沢民主党をあたかも 護憲勢力であるかのように見なし、積極支持を喧伝するのである。 はあ?小沢民主党が護憲勢力であるわけないじゃん。事実を直視されよ。 事実の誤認あるいは不問に基づく主張は、靖国派議員と同じメンタリティってこと ですぞ。慎まれたい。酷いブロガーになると、イチローくん渾身の「世界」への 寄稿... [続きを読む]

受信: 2007年11月 2日 (金) 17時20分

» 戦争の臭い [権力に迎合したマスコミ人を忘れるな!]
 小田実の本「中流の復興」を読んでいます。学生時代に読んだのは「世直しの倫理と [続きを読む]

受信: 2007年11月 3日 (土) 08時09分

» 福田首相が連立打診、民主党は拒否 [王様の耳はロバの耳]
福田首相が連立打診、民主は拒否=新テロ法・恒久法を協議−2度目の党首会談 (時事通信) - goo ニュース 昨日午後2度目の党首会談がありました。 報道によればその席で福田首相より民主党の小沢代表に対し: その1:自公と民主党の連立政権協議の申し入れ その2:「新テロ特措法」の成立に協力を求めた。 {/kaeru_shock1/} これに対し小沢氏は: その1の連立協議については党に持ち帰って検討。 その2の「新テロ特措法」は自衛隊の随時海外派遣を可能にする「恒久法」の制定(に自民が協力する事を... [続きを読む]

受信: 2007年11月 3日 (土) 14時27分

» 『決意表明』 −正義のために市民としての使命を自覚して− [鳥居正宏のときどきLOGOS]
みなさま。これまでの拙ブログの記事で、2回にわたって告発して参りました、私を騙した大阪弁護士会所属の、詐欺まがいの悪徳女性弁護士に対して、私は本日、自力で(代理人弁護士なしで)、損害賠償を求める、裁判所による調停の... [続きを読む]

受信: 2007年11月13日 (火) 00時45分

« 国民戦闘組織 | トップページ | 福田流「新体制」? »