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2007年10月27日 (土)

宇都宮徳馬氏

 自民党出身の保守政治家、宇都宮徳馬氏が逝去して7年、今、あらためて、氏の信念をかみしめて見る必要がある。以下は、『軍縮問題資料』1994/6月号の巻頭に掲載(緑色部分)されたものである。それから13年間、政治家は何をしていたのか、まさにそれが問われる。(黒字は管理者注)

 (前略)国内では昨今の政界再編(自民党の離党者が続出し、93年8月に非自民の細川内閣、94年4月に羽田内閣、そのわずか2カ月後には自社政権の村山内閣という激動の時代)を機に、従来の「押しつけ憲法改正」的な改憲論に代わって、国連協力を口実にした改憲の主張が台頭してきた。
 つまり、国連の名のもとに行われる行動に日本が参加して、国際的責任を果たすためには、憲法九条を改正しなければならないという主張である。さらに「政治改革」を大義名分にして、護憲勢力に対しても、防衛・安全保障などの面で妥協や政策転換を迫る動きが目につくようになった。

 これに対する社会党の対応が、なんとも歯がゆい。予算編成ではAWACSの購入をあっさり認めたり、北朝鮮の核疑惑で緊張が高まる中にあって、朝鮮労働党と友党であるはずの同党が、平和的な解決に向けて積極的な行動を起こす気配もなく、政界再編の権力抗争に血道を上げている。

 護憲の象徴的な支柱であった社会党が、村山内閣ですっかり去勢され、その系譜を引き継ぐはずであった社民党は凋落を続けた。そして、参院選で憲法改正をトップに掲げた安倍政権に痛打を浴びせるような政策提言をするわけでもなく、選挙戦でもただ死票をふやすだけの戦術に終わった。

 社民党はさらに議席数を減らした。かわりに民主党内の右翼分子をおさえ、自民との対抗軸を際だたせようする小沢代表に期待が集まっている。しかし憲法や平和に対する基本的な姿勢が見えてこず(見せないようにしているという説もある)、護憲勢力の不安は去らない。宇都宮論文は続く。

 (中略)私たち日本人は、この際みずからの平和憲法を世界政治の原理とする活動を、速やかに開始せねばならない。世界の諸民族は、日本が、その深刻な体験から得た平和主義に基づく発言を求めており、日本民族はまた、そのような発言をする道徳的な優位がある。わが国が国連安保理の常任理事国に選ばれるしするならば、その最大の意義と使命は、まさにこの点にある。かりにも、野放図な大国意識を振り回したり、海外派兵を当然視するような姿勢は厳に戒むべきである。(後略)

 来週から本格化するテロ特措法審議を前に、攻める民主党、守る自民党双方とも、この先輩の提言をかみしめ「平和憲法を世界政治の原理とする活動を速やかに開始する」方向をさぐるよう、切に願ってやまない。

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コメント

お早うございます。近頃寝坊になてしまいました。さっき起きたところです。
雑誌「軍縮」と「前衛」の新聞広告(朝日の場合)は、大概同日ほぼ並んだ位置に掲載されていたように記憶します。
最近は、両誌ともあまり新聞広告では見かけませんが、徳馬氏逝った後は、ずっと小型になってしまったような気がいたしておりました。

投稿: tani | 2007年10月28日 (日) 07時07分

tani 先輩 おはようございます。台風一過の好天。洗濯もの干しは妻より一歩先に勤めを退いた日課で、干し竿の先に見る青空は、まさに○○好日。
 宇都宮さんは、今のことをいってるようで驚きます。

投稿: ましま | 2007年10月28日 (日) 09時35分

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