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2007年10月16日 (火)

漢字復権を

 このテーマを書くきっかけからまずお話ししたい。実は全然別のことを書くつもりで文案を練っている時、「トイレ」のことを書かなければならなくなった。ズーット端っこにいても、一応は「物書き」。「トイレ」という怪しい日本語を文字にすることになんとなく抵抗を感じて、とうとうそのテーマをやめてしまった。

 子供の時覚えたことばは「便所」である。そのうち占領軍が入ってきて、町中の便所が「WC」に書き換えられた。そして今や「トイレ」以外の言葉は使えない勢いである。なぜ、いつからそうなったのだろう。おそらく、「便」は大便、小便、便器、便通というから、排泄物そのものを指すと誤解されたせいではなかろうか。

 辞書を見ていただきたい。本来「便」は、通ずるとかくつろぐなどいう意味で、「ふん」「くそ」「尿」「いばり」とは違う。中国語の厠所、日本語の「かわや」はともかく、「雪隠」や「はばかり」よりはるかにいいと思う。

 と、言っても「便所」がそんなに簡単に復権することはないだろう。しかし、英語などの切り貼りはもうやめてもらいたい。今朝の新聞見出しに、「パワハラ」で労災初認定、とあった。パワハラは「パワーハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)」のことだという。

 「セクハラ」が市民権を得たからだろうけれど、同じ新語を考えるなら漢字で考えてほしい。「性圧」とか「位攻」とかにすれば2字ですむ。中国の「電脳」と同じ発想で、カタカナ語大好き人間の安倍さんはいやがるかも知れないが、「経済」「社会」「哲学」「主席」など、明治時代日本で作られた言葉が、そのまま中国で使われているのだ。

 同様な経過をたどった韓国(朝鮮)では、ハングル尊重、漢字追放の影響で文化の断絶や交流に不便を生じ、このところ漢字復活論がでているという。日本の新聞で「盧泰愚」「金大中」などと書いていても若い韓国人には読めないし書くこともできない。

 電子空間では、「顔文字」が飛び交っている。これは漢字と同じ表意文字(象形文字)である。また、今や無数と言っていいコンピュータ画面の「アイコン」も、絵ひとつで意味を読みとらせようという工夫である。

 携帯電話とメールはもはや生活そのものである。あの小さい画面にカタカナ書きの外来語を連ねるより、気の利いた漢字表現をする方が入力も読みとる方もずっと楽だ。漢字は決して過去のものではないことをさとってほしい。

 ついでに新聞にひとつ注文しておきたい。縦書きなのに数字を100億5000万円などと書く。従って数字が次の行にまたがり読みにくい。これを百億5千万円とすれば字数は半分以下になり、読み違いもずっとなくなる。

 

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エッセイ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
私も中国語を学んでいるせいか最近まったく同じことをよく考えます。特に新聞やテレビにある「セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)」のような括弧書きのセンスのなさが気になってしょうがありません。
「革命」も「共産主義」もほとんどの中国人がメイドインジャパンと知らないほど浸透しているのに。あ、日本製と言うべきでした…。

投稿: locust72 | 2007年10月16日 (火) 17時42分

locust72 さま。いらっしゃい。
 そうでしたか。「革命」も「共産主義も」。私はたくさんあるはずだ、と思ったけどとりあえず手近にあったヘボン関係の本を参考にしました。どこかにそういった言葉を網羅した資料があるはずなんだけど、データベース(いや「資料集」か)にしておかないとすぐ出せませんね。
 いや、勉強させていただきました。

投稿: ましま | 2007年10月16日 (火) 18時16分

ましまさま
いきなり「トイレ」になり、ビグットしました。「トイレ」の話を拙グログに、続けざまに2回も書いたからです。
漢字復権は、同感な部分もありますが、困るのは医者様がお使いになる、漢字による「病名」です。最近の例を引けば、朝青龍関の病名、更に阿倍前総理の病名、畏れ多い話ですが雅子妃殿下のご病名。何れも難解。難文字名。それでいて、医者の書く「カルテ」の文字は英語なのかドイツ語なのか、中東文字に近い横文字です。ちなみに愚妻が退院の時書いてくれた病名「□室出血」。看護士(女性)に訊ねましたら、「ケーシツ出血」との答え。字が外字にもないような読めない字なので、「これどんな字を書くのですか?」と、再度訊ねましたら、誰も分からず、結局は医者様が、辞書を引っ張り出して「憩室」と書き直してくれました。医者の書く漢字は小学生3年生程度の漢字でした。

投稿: tani | 2007年10月17日 (水) 08時54分

tani 兄
 これは、失礼。あの美しい写真入りの記事、そういわれて思い出しました。この場合、私も「トイレ」と書きます。旅先の場合、バスガイドも「トイレ休憩に」といいます。シボレーというが如く、フランス語読みで「ット」の部分が無声音になったとすれば、「化粧室-休憩」でなんとなくピッタリ。チョット屁理屈?。(_ _ )/ハンセイ

 2級下に泌尿器科の医者がいます。なんでお前そんなに字が下手なんだ?、と聞きましたら「患者などがのぞき見しても読めないようカルテなどわざと下手に書く」と、これも屁理屈でした。

投稿: ましま | 2007年10月17日 (水) 09時58分

 最近、カタカナ語とか、アルファベット何文字かの省略語が本当に氾濫していて、仕事や生活をしていく上で、時々意味が分からなくなります・・・。
 明治の頃、学生が(学費等を稼ぐために)仕事していることを、ドイツ語で”arbeit”(←綴り、合ってますかネ? )と言っているうちはまだ良かったデスが、今は、それを表現する日本語や、普及している外来語があるにも関わらず、わざと違うように言ってみたりすることが多いですネ・・・☆ 
 漢字は中国からの外来文字ですが、日本風にいろんなアレンジが加わった立派な”日本語の表意文字”ですから、きちんと後世に伝えていかないといけませんネ。

投稿: 棘入り《妄言録》!  | 2007年10月19日 (金) 00時08分

棘入り《妄言禄》さま
こんにちは。
さすが!、綴り辞書でみたら合ってます◎。
戦後まもなく旧制高校あたりから外来語の「アルバイト」が復活しましたが、いつの間にかすたれて「バイト」になっていました。
バイトの本来の意味は、コンピュータ用語と、旋盤などに使う刃物なのにね。

投稿: ましま | 2007年10月19日 (金) 10時09分

漢字復権に反対しているハングル学会に、漢字交じりの韓国語で、抗議の手紙を出しておきました。
日韓友好が最優先だから、日本語水準で漢字を復活させるなら、竹島を譲ってもいいと個人的には考えている、だが、あくまで漢字復活に反対するなら、差別対象としての朝鮮人だ、と書いておきました。
自説には自信があるから、住所と実名も、明記した上のことです。

投稿: 朴明哲 | 2009年2月22日 (日) 18時14分

朴明哲さま
韓国旅行をするとハングルの洪水。公共の実には英語が併記してある。それは一度頭の中で日本語に翻訳する。お寺に行ったら扁額に漢字で山号が書いてあった。おお感激!!。一発で意味がわかる。なんとなくホッとして暖かい気分になりました。
 中国へ行ったときは、飛行機で隣の男性と筆談をし、到着するまで仲良しになりました。漢字復活は韓国にとって重い負担でしょうが、失うより得るものの方が多いと思います。

投稿: ましま | 2009年2月22日 (日) 20時32分

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