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2007年10月 9日 (火)

小沢原理主義

 これは私の命名ではない。小沢民主党代表がアフガンのISAF(国際治安支援部隊)に参加する意思を表明したことについて、菅代表代行がTV番組で「原理主義」と感想を述べたことによる。そもそもは、雑誌『世界』11月号上に「公開書簡」という形で所見を述べたことに端を発している。

 民主党・小沢さん。惑わされてはいけません。国連教狂信者のようなチョット気になるところはあるけど、目をつぶりましょう。「憲法違反だ!!」でがんばってください。応援してます。

というのは、1週間前に「新語候補大賞」という題で書いた記事の最後のくだりである。そしてそのすぐあとに『世界』への投稿が報道された。これは由々しきことを言っているな、と思ったが報道内容だけで論評するわけにいかない。

 そこで発売日の今日、大枚780円をたたいて『世界』を買ってきた。全文を見て行間からなにか読みとれるものはないかと思ったからだ。しかしどうやら、それは無駄だった。「前言撤回」と言いたいところだ。

 「国連の平和活動は、たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない、というのが私の憲法解釈です」という信条を繰り返し、「私の主張はそんなあいまいな話ではありません」とISAF参加に踏み込んだ内容である。

 「私の解釈」「私の主張」という「私」が、安倍前首相の口ぐせ「私の内閣」を思い出させたが、全く逆の意味で、民主党のオーソライズを受けていないという意味か、選挙に勝っても首相にはならない、という意味かとも思った。ところが、昨年末に作った「政権政策の基本方針」で既定の方針だと、同文中できっぱり言い切っており、ここにきて同党の公式サイトのトップにもかかげている。本気なのだ。

【民主党政権政策の基本方針】
7.自衛権の行使は専守防衛に限定
 
日本国憲法の理念に基づき、日本及び世界の平和を確保するために積極的な役割を果たす。自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論の経緯に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9条に則り、行使する。それ以外では武力を行使しない。
8.国連平和活動への積極参加
 国連は二度に亘る大戦の反省に基づき創設された人類の大いなる財産であり、これを中心に世界の平和を築いていかなければならない。
国連の平和活動は、国際社会における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権国家の自衛権行使とは性格を異にしていることから、国連憲章第41条及び42条に拠るものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加する。

 問題は8.にある。国連憲章第42条は、空軍、海軍、又は陸軍による軍事的措置を定めたものだ。しかしわが国には自衛隊はあっても、陸海空軍は憲法上持たないこと(実体はどうあろうとも)になっている。

 だから、上の7.と8.は二律背反する概念なのだが、かつて民主党議員から「国連改革が実現した暁には」とか「国連総長指揮下の国連軍が創設されたら」といった解説を聞いたことがある。これは15年以上も前、自民党内からも異論がでてお蔵入りになった小沢調査会の結論にそっている。

 「私は変わる」とおっしゃった小沢さん、世界も日本も変わったのにあなたは何も変わっていない。菅さんだけではない。枝野憲法調査会長まで首をかしげている。どうか「ヤキが回った」などと言われないようにしていただきたい。あなたの首相の芽はどうもこれであやしくなった。

  テロ特措法について憲法がどうの国連決議がどうのという解釈論争は、国民にとって難解だ。いくら国会で議論をつくしても、それを理解し判断するというのは無理だろう。だから国民は現実をもって判断せざるを得ない。

 それは、国連決議なしにアメリカがはじめたOEF(不屈の自由作戦)と国連決議のあるNATO主体のISAFの区別などアフガン人にわかるはずがなく、双方ともタリバン等の攻撃目標になっていること、そして次のアフガニスタンで武装解除日本政府特別代表を務めた、伊勢崎賢治氏の発言である。

 そこで強調したいのは日本の役割です。これまでアフガニスタンの「治安分野改革」で成功したのは、日本の武装解除だけです。なぜか。現場の私たちは「美しい誤解」という言葉を使いました。アフガン人はテロ特措法など知りません。日本は軍事行動をしていないという「美しい誤解」が、疑心暗鬼の武将たちに信頼醸成させた。

 「美しい誤解」については、すでに「洋上給油は終結せよ」で既述したが、上記の『世界』11月号でも「日本は『美しい誤解』を生かせ」というインタビュー記事を収録している。小沢原理主義が国際主義を指向しているようで、実は党内や国会内の論争の具でしかないことががわかる。

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