« 既著 | トップページ | 新語大賞候補 »

2007年10月 1日 (月)

9条と天皇制

 安倍晋三内閣の壊滅で改憲機運が遠のいた。これからは、ないがしろにされがちだった現行憲法の精神を再構築することと、9条を生かした外交方針を、国論としてもり立てるよう努力しなれけばならない。

 いま、右翼陣営は体勢建て直しに必死だが、もともとその論拠が浅いだけでなく、一貫性にも欠けていたので、勢いを取り戻すのは容易でないだろう。また、護憲陣営からは、改憲、論憲を言うだけで対立勢力と見なされる、そんな呪縛も解けてきた。

 そこで今日は開塾記念に、「とんでも改憲論」をひとつご披露する。それは「第一章天皇」である。全くの(形骸的で意味のない)象徴天皇に、平和に関する限定的な大権を付与しようという、相当思い切った改正案である。

 内容は、自衛隊の海外派遣に対する拒否権と海外派遣中の自衛隊帰還命令権の二つである。なにをねぼけたことを、とおっしゃる方は、憲法の前文、第一章天皇、第二章戦争放棄までをじっくり読んでいただきたい。

 ここまでがワンセットで、以後国民の権利義務など具体的な条項が続くことがわかる。明治憲法は、陸海軍の統帥など軍の関係は、第一章天皇の中の一部分であった。スタイルとして、現行憲法が明治憲法を踏襲していることはよく知られている。

 前文でわかるとおり現行憲法の骨子は、国民主権と平和である。制定当時、占領軍が天皇制維持と戦争放棄をバーター取引したとか言われている。もしそうなら、日本国民の総意に基づく「日本国の象徴」と「日本国民統合の象徴」とはなんぞや。まさか手を振るお姿や宮城ではあるまい。

 ずばり9条を含めた「平和」そのものである。占領政策を円滑に進めるのも平和、連合国との戦争を防ぐのも平和、天皇はその平和を担保するために置かれたのである。そうすれば、昔の統帥権相当の権限を保持していても何らおかしくはない。

 「和をもって貴しとなす」……例外はあっても、庶民を「おおみたから」とよんだ昔からの皇室の伝統であろう。もし、これからさきの戦争のようなことがことが起き、終戦の「ご聖断」をくだすような人が存在しない現在を思うと、ゾッとするのである。

 ビルマとタイ、軍の力の強いのは同様であるが、国勢や国情の違いは何か、タイには軍の上に王がいるがビルマには軍の上になにもない、ということがあるそうだ。シビリアン・コントロールといっても何となくお寒い感じがする日本の昨今である。

|

« 既著 | トップページ | 新語大賞候補 »

憲法」カテゴリの記事

コメント

お邪魔します。
「自衛隊の海外派遣に対する拒否権と海外派遣中の自衛隊帰還命令権」を天皇に与えるとは・・面白い、奇抜な、そして深い意味を持つ発想ですね。
一本いや3本取られましたね。

投稿: 飯大蔵 | 2007年10月 1日 (月) 21時31分

われながらふざけた、まじめな提案だと思うんですが、「反戦老年委員会」のままではチョット書きづらい。
飯大蔵さまにご評価いただいたので、してやったり!とばかりほくそえんでいるところです。\(^O^)/

投稿: ましま | 2007年10月 1日 (月) 21時53分

ご開塾おめでとうございます。
おもしろい改憲案ですね。今の民主主義には、大勢に抗しての決断などのような苦手分野があると思います。戦争に関するものは特にそうかもしれないですね。

投稿: locust72 | 2007年10月 3日 (水) 08時32分

locust72 さま
 まだ落ち着きませんが、ありがとうございます。
 天皇がこの権利を行使しなくとも、十分抑止力になると思うのです。
 しかし、自衛隊の皇道派が「君側の奸」をのぞく、といって2.26事件を起こすかも知れません。だけどそれは憲法の天皇の大権を犯すことになるので、最初から賊軍扱いになります。

投稿: ましま | 2007年10月 3日 (水) 09時13分

鳩山法相の死刑執行の大臣署名問題でベルトコンベアーで順番どうり粛々とが批判されていますが、鳩山氏は大きな間違い、勘違いをしているようです。
裁判は司法の権限で決定し、刑罰(法の執行)は政治家が介入出来ない分野ですが、唯一例外的に死刑執行。
大臣署名が無いと行なえない。
鳩山氏は殺す為に署名するのは嫌だと言うが、本当の意味は法務大臣が署名しない限り死刑執行が出来ないことでは無いでしょか。?
死刑は司法で既に決っている。
しかし其の決定事を司法の最高責任者のもう一度考え直す(署名しない可能性)事の重要性。

たった一人の命を奪うことでも、それほど重要な事柄なのだと言う事でしょう。

ましてや自衛隊(軍事力)を派遣することは一人や二人の死(命)ではすまない可能性がある。
天皇の署名の無い海外派兵は違法、無効は当然かもしれない。

投稿: 布引洋 | 2007年10月 3日 (水) 11時17分

布引 さまのご支持をいただき、大いに意を強くしました。極論であっても、これをもとに大勢の方が考えてみていただければ、弊塾の光栄、これにすぎるものはありません。

投稿: ましま | 2007年10月 3日 (水) 13時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/8192507

この記事へのトラックバック一覧です: 9条と天皇制:

» 福田の初所信表明演説に対応する自Endバナーを急遽作成しました。福田の本質的に冷たい心性を画像的に強烈に表現しました。(笑) [雑談日記(徒然なるままに、。)]
 誇り高きバナー・アジテーターのSOBAです。(笑)  突っ込みどころ満載の安倍 [続きを読む]

受信: 2007年10月 1日 (月) 16時33分

» 世界一美しい日本国憲法! ― 片山哲内閣の挑戦 ― [鳥居正宏のときどきLOGOS]
片山哲首相※画像クリックで拡大 このブログをはじめるにあたって、はたして、何から述べたら良かろうか?やはり、国家存立の根幹たる、憲法の話題から始めることを諒とされたい。 私が最も好きな日本史上の政治家は、片山... [続きを読む]

受信: 2007年10月 2日 (火) 00時32分

» 福田新首相の所信表明演説を聴いて [「猫の教室」 平和のために小さな声を集めよう]
昨日はあまりにも中身が無いとして、切って捨てた、福田首相の所信表明演説だが、やはり、記事にすることにした。 基本的に、野党との対立点が無いように配慮した内容だったと思う。テロ特措法と構造改革の継続くらいが争点で、あとは民主党の主張をそのまま取り込んだよう..... [続きを読む]

受信: 2007年10月 2日 (火) 10時15分

» 『ビルマに自由を!』 −国際ブロガーズ・キャンペーン− [鳥居正宏のときどきLOGOS]
下記のエントリーで、詩音さんから、コメント欄でご紹介をいただいた国際ブログキャンペーンを記事にして配信し、お知らせいたします。 「フリービルマ!……10.4 ビルマにささげるインターナショナル・... [続きを読む]

受信: 2007年10月 3日 (水) 00時05分

» 土井たか子さん「私は共和制論者ではありません」 [喜八ログ]
「週刊金曜日」2008年10月31日号に掲載された、土井たか子(憲法学者・社民党名誉党首)・佐藤優(作家)対談の一部を紹介します。土井たか子さんが「私は共和制論者ではありません」と明言する部分です。平たくいえば「私(土井たか子)は天皇制を支持します」ということですね。... [続きを読む]

受信: 2008年12月18日 (木) 20時50分

« 既著 | トップページ | 新語大賞候補 »