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2007年9月21日 (金)

石油相場

以下は、旧バージョン「反戦老年委員会」記事の採録です。

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2006-04-21
石油はさがる
 今朝のニュースで、アナウンサーが「高騰を続ける原油価格が、WTIで遂に73.5ドルの新高値をつけました」といっていました。ガソリンは税金の部分が多いので、値上がり率で見るとそれほどにも感じませんが、灯油は去年より5割も高くなって、お困りの家庭が多かったと思います。

 ”石油はさがります”--何日か前に、石油連盟の渡文明会長が「高値が続くとしてもこれ以上の暴騰はない」といったコメントを出していました。これは気休めではありません。株と同じで、暴騰したものは必ずある程度戻すのが当然です。

 「エッ、石油は限りある資源だしいずれなくなる。それなのに中国などの消費量が爆発的に増えていくから高くなる一方じゃないの。株の値段とは違うでしょう」

 そのこと自体はまちがいではありませんが、今の高値の原因ではありません。そこでWTIについてすこしご説明しておきましょう。WTIはニューヨークのマーカンタイル取引所で先物取引される、あるテキサス原油の名前です。この原油の産出量はごく僅かですが、これまで世界の原油価格の指標になってきました。それが04年1月の平均34.24ドルからわずか2年で倍以上になったわけです。世界的に原油が不足しているわけではないのになぜでしょう。

 「産油国イラクはまだ戦乱状態だし、次はイランが危ない。ベネズエラには反米政権、ロシアはパイプラインが不安定、アフリカも・・・」

 そういった世界情勢による不安材料の反映もありますが、アメリカ独自のもっと直接的な原因があります。この原油は簡単な精製設備で、ガソリンが多くとれるすぐれものの原油です。アメリカは世界一のガソリン消費国で、値段が高くなってもまだ消費が増え続けています。そこへ去年ハリケーンが襲い、ただでさえ不足気味だった製油設備が大被害を受けました。ほかの安い原油を持ってきてガソリンに精製するための設備投資も遅れていて、WTIは一気に人気化しました。世界がそれに振り回されているわけです。

 「例によって反戦老年委員会さんのアメリカ・バッシングみたい」

 いいえ別にそんなことはありません。次回は、あと何年で原油が尽きるか、その年数が増え続けているという話をしましょう。

投稿日 2006-04-21 うんちく・小ネタ

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2006-04-22
原油枯渇の日
 あと何年、原油を掘り続けられるのか、原油が高騰している現在気になることです。毎年当然減っていくものと思ったら、ナナナナナント(←「きっこのブログ」の悪影響)年ごとにぐんぐんふえているのです。(下の可採年数がそれ=石油連盟資料ほか)

暦年 原油確認埋蔵量   可採年数
1930    25,865(百万バレル)18.3 (統計とりはじめ)
1973    627,856             31.2 (第1次石油危機)
2005  1,292,550        49  (去年)

 ちょっとここで言葉の定義をしておきましょう。
【確認埋蔵量】油層内に存在する油の総量(原始埋蔵量)のうち、技術的・経済的に生産可能なものを「可採埋蔵量」といい、通常「原始埋蔵量」の20~30%程度といわれている。「可採埋蔵量」のうち、最も信頼性の高いものを「確認埋蔵量」としている。
【可採年数】ある年の年末の確認埋蔵量をその年の生産量で除した数値。 
 
 確認埋蔵量の増加は、いままで無理だと思われた分も、生産技術の向上で採掘可能になる原油があることと、経済的理由(実はこれが大きい)で掘り出せる量が多くなるということのようです。かみくだいていうと、そこに原油がねむっていることがわかっても、開発のコスト、積み出しや輸送のコストなどを計算し、それが原油市場価格との比較で利益が出せないようなら、確認埋蔵量にカウントされないということです。それが今のように原油が高騰すれば、これまで見捨てていた油田でも、採算に合うところがどんどんでてくるということになります。

 油田ではありませんが、東シナ海で問題になっているガス田でも同じことがいえます。中国側の「春暁」に対抗して日本側に鉱区を設定しても、日本企業は今開発しても利益を生まないと判断すれば、どうしても投資に熱心になれません。そこが社会主義の国営企業とは違うところです。

 石油危機のあった頃は、地球上には理論的に2兆バレルほどの原油が存在する、といわれていました。今はそのまた何倍かになっているでしょう。しかし、石油資源が有限であることにはちがいありません。節約や代替エネルギーの開発を促進しなければならないことは、論をまちません。先進国の石油消費の伸びは、アメリカのガソリンなどをのぞき着実に減ってきています。中国やインドなどの伸びがいちじるしいものの、産油国の生産が順調に推移すれば、そう悲観的に考える必要はないということです。

投稿日 2006-04-22 うんちく・小ネタ

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