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2007年7月

2007年7月16日 (月)

夏休み

[反戦老年委員会復刻版]

 わが委員会、開設以来週1回休みのペースで続けてきましたが、選挙公示期間中に1週間(土曜まで)の「夏休み」をとることにしました。TBの公開もそれまで保留いたします。 せっかくご来場賜りました諸兄姉様には、まことに身勝手で厚かましい申し条ですが、カテゴリ「憲法」をクリックの上、下記シリーズを遡及ご高覧願えれば光栄です。

  反戦老年委員会一同 謹白

なぜ9条なのか
自衛隊をどうする

2007年7月22日

原発監督官庁を変えろ

 わが委員会が夏期休暇で中国に訪問中、最大のニュースは刈羽沖地震だった。中国のTVニュースも準トップ扱いで、原発の映像も流していた。この間、選挙情勢については、各紙が中間報告をしているが基本的に変化はない。麻生アルツハイマー発言は、論評にも価しない末期的症状のひとつであろう。麻生次期総裁の目も消滅したか?。

 さて、言語道断といえば、刈羽原発の危機対策が皆無と言っていいほどいいかげんだったことである。これが民間会社なら現場の長、社長は即刻辞任、監督官庁・通産大臣(以下昔の呼称で表示)もその責任を問われてもいい、それほどの危機、失態が天下にさらされた。全原子力発電の即刻停止、再チェックを経ても信頼は容易に恢復しないだろう。

 ちなみに石油会社の防災体制を掲げておこう。この資料は1977年(40年前)のもので古いが毎年改定されている(『石油便覧』1977年版)。
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    製油所等の地震対策
 過去の地震から製油所における被害を調べてみると、地盤沈下による機器、配管等の接続部破損(ネジ込み、鋳鉄製のものがとくに多い)による油の流出タンクからのオーバーフロー等が考えられ、近くに火気があれば火災という最悪の事態の発生も容易に考えられる。また、火災および設備の破損等にによりユーティリティー設備(電気、水、スチーム等)の使用が不可能となり、工場単位では、防災、消火活動がむずかしくなる。したがって、既設の設備については地震に対して十分とはいえぬものもあり、対策として補強あるいは撤去等の手段により、耐震性のあるものにし、災害防止に務めなくてはならない。また新設備に対しては、建設時に万全の対策を立てることが必要であるが、具体的には下記の事項を考慮する必要がある。

1.設備の建設時には十分な地盤調査を行い、不良地盤には建設をしない。(不良地盤は、サンドドレン工法等により地盤改良を行う)。
2.製油装置の場合、ユーティリティーの供給停止、特に計器用圧縮空気の停止による混乱を避け、装置を安全に消火、操業停止に導く方法を検討する必要がある。
3.搭、タンク等の建設設計時には、地震を考慮し、十分な安全率をみる。

4.固定されている機器に接続されている配管等には加橈(とう)継手等を使用する。
5.タンク回りには、防油堤を設け、油の流出を防ぐ。
6.(略)
7.不慮の地震に対して、緊急時の対策要領を作成し、日ごろの教育訓練を行なう。
 ① 火災の始末方法 ② 流出防止対策 ③ 消火訓練 ④ 避難対策 ⑤ 夜間、休日対策

8.近隣工場との間で共同援助協定等を結び、災害防止についての対策を立てておく
 上記の事項のほか、平素における作業員のプラントの熟知、近隣住民との接触、地震に対する認識の向上(勉強会)等が、大災害を防ぐ目に見えぬ地震対策となる。
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 刈羽原発で以上の措置がとられていれば、まだ、天下に恥をさらすことはなかった。なぜ、民間の石油会社以下の対策しかないのか。石油の防火・防災は消防法により自治省の管轄である。地域の安全確保は、地方自治により確立されている。それだけに厳しい規制と監視の目の下にあるのだ。

 通産省は産業保護、エネルギーの安定供給を優先させる役所であり、規制やチェックが甘い。いわば公益企業の名の下に需要者が独占的に確保されおり、会社にも安全に対する甘えがあると言わざるを得ない。

 先刻、ガス器具による死亡事故が続発したが、形式認定や安全基準が、石油使用器具より甘いことについて、かつて消防庁に具申したことがある。その回答は「ガスは通産省が安全と判断したから安全」というだけ、縦割り行政の典型を見せつけられた。原発の安全管理・運営は、通産省から自治省に移行すべきである。

2007年7月23日

中国見聞録

 ブログを一時閉鎖して一週間中国訪問の旅をしてきました。いまや中国へ往来する人は数多く、その情報もあふれるほどありますが、このブログの最初の記事が中国の反日デモであり、拙著に『海と周辺国に向き合う日本人の歴史』があることもあって、その目で観察してきました。

 来年のオリンピックを控え、猛烈な勢いでスクラップ・アンド・ビルドが進んでいます。この傾向は北京だけでなく、観光客が訪れそうな西安など、省都クラスの都市に共通する現象でした。都心部に林立する超高層マンションの入居の権利だけで、㎡あたり30万円もするそうですから、日本人でも庶民が簡単に買える値段ではありません。(映像・略)

 「私房→新興房」がキャッチフレーズのようですが、平屋や低層住宅に住む低所得者層は都心から淘汰され、バス通勤に変わるのでしょう。そう言えばかつての自転車通勤風景は、猛烈な車の増加に道を奪われたのか、目にすることはできませんでした。

 交通事情ですが、信号のないところで人が横断し、渡りきれずに車と車の間に取り残される、わずかな発進の遅れでもクランクションを叩き続ける、先を争う運転マナーの悪さと乱暴さ、そう、日本のオリンピック前の昭和30年代を思い出させます。

 古都・西安とベトナムに隣接する壮族自治区の桂林で経験したことです。展示館や博物館(中国だから当然公設です)へ現地ガイドの案内でいきました。「運がよければ、人間国宝級の著名な書家○翁がおられ、説明が聞けるかも知れません」、または「今日は少数民族についての権威ある少壮学者から話が聞けそうです」という。

 それぞれの話の内容は、決して低レベルではなく満足のいくものでした。ところが、最後にその著名書家が客の希望に応じた文字を色紙に揮毫するという。お代は1点1万円。また、桂林の博物館ではそれまでいなかった大勢の館員?がどこからともなくでてきて、展示物の売り込みをはじめました。

 かねがね中国の物売りのすさまじさは聞いてはいましたが、公務員はもとより名士(まさかニセ者ではないでしょう)まで、国の方針に基づいてなんのてらいもなく、ごく自然な姿で外貨獲得に「服務」するのには驚きました。また、観光地で目立ったのは子供の姿です。

 夏休みに入ったばかりで家族連れが多く、国内線の飛行機や一流ホテルでも目立つ存在でした。どうやら1学期の成績へのご褒美といった感じです。子供の団体も多かったのですが、ハングルの名札でそれとわかる韓国の小学生の団体をいくつか目にしました。

 上海では、掲示が中国語、英語、朝鮮語、日本語の順で、中・韓の距離は日・中より相当短いと感じました。ただ、中国人もそのようですが、お互いに漢字文化を共有し、ある程度の意思疎通が図れる点に中・韓にはない親近感を持てるような気がしました。

 さきほど言った通り、日本の昭和30年代に似ている中国ですが、克服すべき社会的矛盾の大きさ、近代的基盤の整備不足など多くの課題が残っています。そのかわり、人々、特に中堅層の若い人には目をみはるばかりのバイタリティと自信があふれています。

 役人天国で言論の自由がないこと、これも、今まで決して口にできなかったことを外国人を前にして、遠慮がちながらも言えるようになった、と言っています。これらはすこしずつ改善され、国民総生産などが日本を追い越す日は遠くないはずです。

 今回の訪中で、「嫌中」や「反共」が何の意味も持たない日がもうそこまで来ている、という感じを持ちました。ただ若い人が「中国にだけは負けたくない」と刻苦奮励するなら、その気持ちだけは持ち続けてほしいものだと思います。

2007年7月24日

9条と民主党

 選挙も間近になってきたが、皆さんが投票する候補者は決まったでしょうか。わが委員会では昨年末以来、民主党に憲法を重要な争点とするよう主張し続けてきました。現実には安倍自民党まで、争点のトップに掲げていた改憲から逃げようとしています。

 このため、選挙の結果がどう出ても改憲に対する民意を推し量れない、というわが委員会が憂慮していた結果になりそうです。最初は9条擁護の投票を死票にしないように、と訴えてきましたが、ここへきて民主党候補に対する投票をあらためて考えたいと思います。

 民主党候補の7割が9条1、2項の変更に反対、というアンケート結果がでています。選挙区でいうと、民主推薦を含めて40選挙区にその候補者がおり、7選挙区にははっきり反対を表明する候補者がいません。ここでは共産または社民候補以外に9条擁護の選択肢がありません。

 さらに「9条1、2項の変更に反対」といっても、そのうちの3候補は、集団的自衛権の行使を容認する意見を持っています。これは自民党候補の中にもありますが、わが委員会の立場から見ると非常に危険です。韓国の民間人23人がアフガンでタリバンに拉致され、生命の危機にさらされている現実を直視しましょう。

 さて、あなたの選挙区の候補者ではどうでしょう。選挙公報を見てもそんなことはわかりません。ただ、ネットで調べる手があります。上のアンケート結果を知るためにはこうしてください。

毎日インターアクティブ</a>(政治・選挙)を開く。
○右側帯の「選挙区の候補者とニュース」欄で、都道府県をクリック。
○候補者名をクリック。アンケート結果を見る。

 わが委員会がここまで民主党候補にこだわるのは、死票防止もさることながら、民主党内の9条擁護派が党内で不動の基盤を築く必要があると思うからです。小沢代表がいまひとつ歯切れが悪いのは、9条にしろ集団的自衛権にしろ、自民党タカ派ばりの議員が幅をきかし、ハト派議員の方に舵を切れないからです。

 以前に書いたことがありますが、衆議院副議長の横路さんは、「この重要な時期に党籍を離脱していて、表面に立てないことがはがゆい。参院選後に動乱が起きたらやりますよ!」と意気込んでいるのを直接聞きました。

 横路さんの現憲法擁護に対する情熱は、決して社・共に劣るものでないことも、その時知りました。民主党内の9条護憲派が増えれば、次ぎに来るべき衆院選で9条維持を公約に掲げるかも知れません。今回の選挙はその前哨戦だと思っています。

棄権は危険!そのわけは??

2007年7月25日

風采

 わが選挙区は3人区である。そこへ自民2人、民主2人が立候補し、ほかに公明を除く各党と無所属の候補者がいる。そのうち自民、民主各1名は有力とされてる。残る1議席をどちらがとるか、あるいは第3の党にも機会があるのか注目されている。

 民主の2人は元衆議院議員、松下政経塾出身の若手エリートと、労組幹部出身で県議をしていた63歳の新人である。この新人擁立に当たって、党本部から「風采があがらない候補だから、差し替えて欲しい」などとの要請が県の本部にあったと聞く。

 県党本部がこれに反発していたところへ年金問題が持ち上がり、相談窓口を設けて市民の要望を受け入れたことで人気が急上昇、党本部も差し替え要請をひっこめざるを得なくなったという。また9条堅持をアンケートなどで明示していることも、好意的に受けとめられている原因のひとつになっている。

 その党の代表小沢さんも、決して「風采のあがる方」とはいいがたい。しかし、新聞アンケートによると、安倍首相より小沢さんの方が完全に人気が上、という結果が報じられている。前回の衆院選では、見目麗しい女性刺客が古手の抵抗勢力をなぎ倒し、コイズミ・チルドレンという「風采のあがる」顔が官邸をとりまいた。

 しかし、今回はどうやら違う。親不孝な「お坊っちゃま」や、お利口ぶった「お嬢様」候補より、笑うと細い目もとが親しめる、とか、近所にもいそうなぼくとつおやじ、という「風采のあがらない」候補の方が人気がでそうだ。

 やはり選挙民は、小泉政権発足以来のパフォーマンス過剰政治が生み出したものにうんざりしはじめている。じみでもいいから、確実でうそのないより安心な政治を望んでいるのだ。安倍内閣の支持率低下も案外そんなところにあるのかも知れない。

2007年7月26日

偽物にご注意

桂林 !!
(映像・略)

参院選まであと4日

投票率「60%超なら自民惨敗」(毎日新聞見出しから)

自民党支持者は棄権しましょう……とも読める?。とにかく「偽物」にはくれぐれもご注意のうえ、全員投票所へ!!。

2007年7月27日

捨てたもんじゃあない

 TBSの「みのもんた朝ズバ!」をなにげなく見ていた。途中からなので正確なことはわからないが、どうやら選挙に関する街頭調査の結果らしい。設問の一覧表に年代別の赤○シートが貼ってある。 格差、年金の政策を見て、というのがが30~40代の欄を埋め尽くしていた。これは想定内。

 「憲法」、この設問は30~40の働き盛りがパラ・パラなのに対し、20代が意外に多く、次いで50以上となっていた。改正に賛成なのか反対なのかがわからないが、自らの将来にかかわることとして、憲法問題をしっかり見ていこうという前向きなものと考えたい。

 毎日新聞によると、争点としての「憲法問題」への関心は、終始10%程度であるが、アサヒ・コムで面白い調査をしている。800万件のブログから選挙に関するキーワードを20日~23日に検索したところ、次のようだったという。

(安倍)1608 (年金)1289 (地震)683 (憲法)415
(教育)373 (格差)318 (防衛)298 (公務員)245

 この中の「安倍」は争点ではないはずなのに、他を圧して第1位なのは、支持の書き込みではなく、その大多数が「AbEnd」であることは容易に想像ができる。また、突発的要因の「地震」をのぞくと、「憲法」は第3位で、第7位の「防衛」を加えると981件、堂々と年金に次ぐ大関心事になっているではないか。

 これは、1ブローガーとして日ごろ見渡している感じに符合するものであり、決して選挙民が憲法に関心がないわけではないことを示している。お隣、韓国ではアフガンで拉致された20数人の運命に関心が高まっている。また、アメリカも9.11の結末の付け方で、ブッシュ大統領が崖っぷちに立っている。

 選挙の結果をふまえ、また政権居直りの道具に、9月に予定された集団的自衛権に対する懇談会答申を利用しようとすれば、これまで以上に健全な憲法論議が巻き起こるだろう。その意味で最近の動きは、なかなか捨てたものじゃないと楽観している。

 ただし同時に、これは自然にもたらされるものではなく、やはり自分にできることなら、投票することとブログを通じて一所懸命働きかけることなのだ、と自戒もしている。

2007年7月28日

拖鞋

  狸便乱亭ご主人様から、もっと中国の話を、というご注文をいただいた。書くとなるとどうしても構えてしまうのが、わがブログの悪いクセで、また、「反戦」などと名付けてしまった宿命でもある。

 参院選が明日に迫った今日、生まれ故郷の山口選挙区のこと、孫娘の高校入試の発表を控えているような気分で、「反戦節」も「憲法節」もうわのそら――ちょっとオーバーかな(^^)。そこで、お休みをいただいて毒にも薬にもならない「タアイ」ないお話。

 題名は何と読むのか。タ・アイ?、スリッパのことである。出発する前に、「中国のホテルにはスリッパが置いてないから持っていった方がいいよ」と聞いていた。なに、タ・アイなくとも荷物になるから素足でもいいや、と思って持っていかなかった。

 ところがありました(写真・略)。使い捨てスリッパ……おっと、使拖い捨てではなさそう「お持ち帰りの場合は有料になります」との注意書。さすがは来年オリンピックを控えた先進大国。リサイクル優先には抜かりない。そして何千キロも離れた別のホテルでもすべておなじ製品おなじ方式だった。

 かゆいところに手の届くような日本のホテルのサービスには及ばないが、まずまずは合格としておこう。ただ、トイレの取っ手のビスがゆるんでいてスッポ抜けたり、劇場の椅子がこわれたままだったり、自称「おおらかな国民性」は、もうすこし何とかならないものかなと思った。

2007年7月30日

護憲派の敗北

 参院選の結果、アベ自民党の凋落を喜んでいる向きは多いと思う。ご同慶の至りと言いたいところだが、わが委員会としては「護憲派の敗北」と評価せざるを得ない。その理由は、護憲を正面にかかげた社民党・共産党が改選議席を確保できず、9条ネットも泡沫扱いの票しかとれなかったことである。

 それに加えて、民主党(推薦を含む)は、わが委員会のカウントによると9条護持、集団的自衛権不可とするハト派議員39人を当選させた一方、安倍一派なみのタカ派議員9名が当選した。態度不明者も9名いるが、ハト派当選者は7割を切り、野党、そして公明党まで含め9条擁護派議員をふやしたことになっていないからである。

 自民惨敗に対する安倍退陣論が盛んである。しかし福島退陣論や志位退陣論を聞かない。長期低落傾向を選挙制度のせいにするのはもう聞き飽きた。わが委員会もたびたび警告を発してきた。しかるに国民が期待する左翼政党回生の処方箋は、なにひとつ描かれていない。

 護憲をいうが、問題は3つある。ひとつは自民改憲案を葬り去る政治戦略やプログラムが何も示されていないこと。2つめは非武装中立や自衛隊縮小をいうだけで、直面する脅威や安全保証に対して説得力ある説明がなされないこと。

 そして最後は、各ブログて盛んに提唱された護憲統一戦線が一顧だにされなかったことである。選挙区で、護憲票が割れて当選に達しなかった例は、幸いにして1、2を数えるだけだった。それほど社・共の得票がすくなかったということである。国民の護憲への願望に応えられなかったことは、犯罪的である、とさえいえる。

 しかし、われわれは叫び続けていかなければならない。もはや過去の政党の殻にとらわれてはいけない。1年以内に解散総選挙、政界再編があることは必至である。これまでの経緯から見て社・共がその主導権を担うのは無理である。民主・自民・公明の動きを注意深く追うとともに、国民的世論の形成をはかることが急務である。

 今朝、ベトナム反戦のシンボル的存在だった小田実さん(73)が逝った。この時代の変わり目にあたり世を去られたことは、わが委員会として慚愧にたえない。心からご冥福を祈る。

2007年7月31日

足もとに火が

 惨敗の首相が政権を投げ出すなら今しかない。しかし自民党内に適当な後継者がいないというか、決められない現状でそれをすると、党内が収拾のつかない大混乱におちいる。青木参院会長や中川幹事長の顔にはそう書いてある。その先、9月になるといろいろな政治日程が立て込んでくる。

 その前に内閣改造を、ということになるのだろうが、新聞には早くも幹事長に麻生外相、というような下馬評もあった。しかしそう簡単に大改造ができるのだろうか。首相は、すでに「集団的自衛権行使」の見直し作業に入っていることをアメリカに売り込んできた。

 「アメリカに身も心もささげつくすのが最善」という首相の指南役・岡崎久彦元駐タイ大使や、小泉前首相の対米関係構築に貢献した柳井俊二・前駐米大使を中心とした「懇談会」が9月に、その結論を答申をすることになっている。

 話し合いをする前からすでに結論がでている、というのがもっぱらマスコミの評判だが、国民の支持を失った首相が、これまでの政府見解を一転させる結論を丸のみできるだろうか。一方で11月1日に期限の切れる「テロ対策特別法」(インド洋でアメリカなどの軍艦船に海上自衛隊が洋上給油することを可能にする法律)の延長を国会で通さなければならない。

 民主党は過去もこの延長に反対してきているので、今回急に賛成へ方向転換する道理がなく、小沢代表も反対を明言している。となると日米関係は小泉外交以来もっともぎくしゃくした局面を迎えることになる。

 アメリカは従軍慰安婦問題の議会決議をブッシュの力で止めることができなかった。 かわりに、イラク等への日本の協力に感謝決議をする、といった話があるというが、両国政権ともにレイム・ダック状態が避けられない。外務大臣は、新米の小池百合子防衛大臣(就任後1、2ヵ月でクビにしなければ)をコントロールできる人でなければならない。

 そんな時に麻生外相以外の新大臣を持ってこれるだろうか。せいぜい赤城、柳沢両大臣のクビをすげ替える程度で、これもまた安倍首相の「一将功成りて万骨枯る」の図となり、評判を落とすことになるだろう。

 党内が続投で治まった、といって無邪気に喜んでいる場合ではない。火はすでに足もとに迫っているのだ。「万骨枯る」なかで、この火を身を挺してくい止めてくれる人が果たしているのだろうか。

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2007年7月 3日 (火)

世論と選挙

[反戦老年委員会復刻版]

 久間発言への糾弾は、野焼きの火のように燃えさかり止まるところを知らない。与党内、はては右派陣営からさえ辞任要求がでる始末だ。安倍内閣にとって参院選の決定的なダメージとなることは、動かしえない現象だろう。(辞任の報道があった。昔なら陸軍大臣辞任は総辞職ものだよ)

 わが委員会は、ひとつの事象をもって、まるで掲示板の炎上のような世論ができあがることに危険を感じ、前2回のエントリーをあげた。折しも、久間発言があった当日と翌日にかけて実施された大新聞の世論調査が発表された。しかし、これはまだ反映されていない。

 内閣支持率は、朝日新聞が1週間で31%から3ポイントさがって安倍内閣初の20%台へ、毎日新聞は前月調査と同じ32%、ただし不支持率が8ポイント増の52%に急進した。おそらくこれも参院選の投票行動に結びつくことになるだろう。

 わが委員会は、かねて安倍政権退陣を目指して、参院選を「惜敗でなく惨敗を」と主張しているだけにこの傾向は大歓迎である。できれば参院選前に自滅の状態までいってほしい。しかし気がかりなことが2つある。

 内閣、与党後退の傾向にもかかわらず、野党支持率の伸張がないことである。これは各野党間に連携の動きがなく、最大野党・民主党内の意見集約もできていないということ、つまり対抗馬としての魅力がないことである。

 もう一つは、選挙民の憲法に対する関心が依然として薄いことである。毎日新聞調査によると、「参院選投票の際、最も重視するもの」の問いに対し、年金31、格差15、教育14、政治とカネ13%に続いて、憲法10%で前回より4ポイント減っているのである。

 年金などが突出したためかもしれないが、この二つの懸念が安倍タカ派の粘り腰と執念を助ける結果になりはしないか、という不安につながる。最近、やや関心を持たれてきたかという観測もあっただけに、「憲法問題はむつかしい」といわざるを得ない。

 かりに久間発言で、核廃絶から9条擁護に世間の関心を向けることが可能になれば、これをもって久間発言の最大の功績とすることにやぶさかでない。

2007年7月5日
 
頭脳明せきな…

 アメリカの次期大統領候補について、ワシントン・ポストのコラムニスト、ユージーン・ロビンソン氏が、毎日新聞(07/7/5)の「世界の目」欄で次のように語っている。【米村耕一訳、抜粋】

 次期大統領が立ち向かわなくてはならない課題を考えると、魅力的な笑顔と握手、決意だけで問題を解決できるとは思えない。手始めはイラクだ。次期大統領は米軍撤退をやり遂げなければならない。ダメージを最小限度に抑えられる大統領が必要だ。

 次期大統領にはイランの野心と向き合う前にペルシャ史を猛勉強してほしい。エネルギー政策と中東における米国の国益の関係を理解し、石油業界の友人の話ばかり聞かず、自分の意見を持ってもらいたい。医療政策でアイディアを出してほしい。 ある程度は科学を理解する必要がある。数学に強くなくてもいいが、一般相対性理論や量子力学など、私たちの宇宙理解を支える理論は知っていてもらいたい。

 知的好奇心を持ち、知的誠実さを以てほしい。大ざっぱな見取り図だけでなく、細部も理解してもらいたい。

 有権者は知性をひけらかす候補を支持しない傾向がある。だが、私は次期大統領の職務がいかに複雑で困難かを国民に理解してもらいたい。
 
 大統領候補には普通の人ぶるのはやめてもらいたい。こんな大変な職務に普通の人を選んでよいわけがない。

 これは、博識で秀才のほまれが高い前米副大統領・ゴア氏出馬に期待をこめた発言の中で、後半をなす部分である。しかし「石油業界の友人」云々とあるように、これには明らかにブッシュ大統領への当てこすりが含まれていいる。

 日本の選挙事情もこのところ外づら重視がすっかり定着した。日本の著名コラムニストなら、現職首相にこんな失礼な論評なんかしない。せいぜい「なかよし官邸団」などと、やさしく揶揄するのが精一杯であろう。

 日本の難問題は、年金、財政破綻、格差問題などアメリカにおとらず山積している。イラクでもアメリカと同じ問題をかかえているはずである。学識派の宮沢喜一元首相を失い、久間防衛省失言による失脚の替え馬に元女性刺客が就任するなど、日本の政界も大きな質的転換を求められている。

 さしあたり目前に控えているのは参院選である。せめて、参議院議員には「頭脳明晰」な候補を当選させるようにしよう。

2007年7月6日

自衛隊をどうする 1

 「なぜ9条なのか」を、07/06/20から5回のシリーズで続けてきました。確認いただくには、カテゴリは「憲法」でさかのぼってください。その結論を簡単にいうと、現行憲法では「前文」で平和と主権在民をうたっています。そして第1章天皇、第2章戦争放棄と続き、ここまでがあとに続くべき具体的各条項の大前提として、ワンセットになっています。

 すなわち、第1章の「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」というのは、同時に平和と主権在民を象徴するものでなくてはならないということです。そしてその平和を担保するものとして、第2章の戦争放棄がうたわれているわけです。

 いいかえれば、第2章の「戦争放棄」を「安全保証」などと名を変え、自衛軍などの条文を入れると、天皇条項そのものの存在価値に疑いがもたれることにもなりかねないということです。明治憲法では、天皇の条項に権能として、陸海軍の統帥と編制および常備兵額の決定権などがうたわれており、軍隊の位置づけがはっきりしていました。

 明治憲法もそうですが、そのあとに国民の権利義務、立法、司法、行政などの各条項で国の姿形を定めています。それらを差しおいて「自衛軍」を先に置くのは、国民より軍が先、どこかの国の「先軍主義」の憲法か、と思ってしまいます。

 また自民党案では、内閣総理大臣の職務が第5章で規定されているのに、「自衛軍の指揮命令」だけが2章にいきなりポンと出てきます。素人目で見てもなにかずさんな急ごしらえの案で、こんな憲法をいただく国民にはなりたくありません。

 もちろんわが委員会では、自民党案のような”暴力装置”になりかねない「自衛軍」創設には反対です。しかし自衛隊は存続すべきだと思っています。では、どんな自衛隊にするのか、存続させるにはどうするのがよいか、次回以降一問一答形式で考えてみたいと思います。質問者は「仮想委員会」の硬さん、回答者は同じく乙さんです。

2007年7月7日

自衛隊をどうする 2

【目的・任務を規定するなら加憲】
・硬 9条をいじると、第1章「天皇」までおかしくなるという話しはわかりました。早速ですが、自衛隊を存続させるとすると、憲法はどういうことになるかですが。

・乙 9条はいじらない、しかし自衛隊はちゃんと明記する、ということになれば加憲ですね。それも第6章よりあとに書き加えるのがいいと思います。

・硬 共産党、社民党は自衛隊の段階的縮小などの考えを持っていますが?。

・乙 憲法で自衛隊の目的・任務を明記することになれば、それに沿った質的な変化はあってもいいと思いますが、その規模などについては、国民の判断に基づき決定されるべきで、場合によれば増強があってもいいと考えています。

・硬 非武装中立ではいけないのですか?。

・乙 これまで古今東西いろいろな歴史を調べてみると、自分の郷土、祖国の防衛を人(大国)任せにしたり、関心を持たなかったせいで、他国同士の戦争を招き、結局は滅亡の悲哀をこうむったという例がいくつもあります。したがって、国民が自衛に対する強固な意思をもつことは必要だと思います。それを表現する組織は、現在の自衛隊と区別するため、仮に「新・自衛隊」とでもしておきましょうか。

・硬 自衛隊と「新・自衛隊」の最大の違いは何ですか。

・乙 日米安保(日米同盟)を基軸にした目的・任務から、あらたに定められた憲法にそった自主的な目的・任務になるということです。これまでも、違憲すれすれの日米間の協定とかガイドラインとか、また特措法などの国内法があったわけですが、これらは時間をかけて徐々に是正していけばいいということになるでしょう。将来にわたり、日米間で根本的な障害になるものはないと信じています。

【人を殺す組織、命を守る組織のちがい】
・硬 さて、「新・自衛隊」の目的・任務ですが。

・乙 やはり、国土防衛、災害出動それに国際貢献の3つになりますね。しかしその中味は、自民党が考えているものと大きく違いがでてくる。
・硬 というと?。

・乙 陸海空軍ではない、すなわち人を殺すことを目的とする「暴力装置」にはならない、ということに徹するわけです。日本人であろうと外国人であろうと「命を守る、民を守る」という意味からすると、警察隊・消防隊を機動的に強化したものと考えた方がいいかも知れません。

・硬 そうすると、軍隊特有の徴兵制度、軍法会議、戒厳令などを整備する必要もない?。

・乙 その通り。ただ日本の危機管理システムは十分でない面もあるので、軍を前提としない研究、施策は必要だと思います。

【専守防衛に徹す】
・硬 国土防衛には何が必要かということになりますが、まず「新・自衛隊」が受ける制約とは?。

・乙 どんなことがあっても外国の領域で武力行使をしないということでしょう。

・硬 たとえば、日本に向けてミサイル発射の準備をしているのがわかっていても……。

・乙 先制攻撃はしない、ということです。これまでの戦争も、どちらが先に発砲したかなどということがよく問題になります。しかし、これまでも、挑発、謀略、情報操作などあらゆる手を使って開戦を正当化したという多くの前例があります。

・硬 すると、ミサイル攻撃を受けて被害がでるのも仕方がないということに……。

・乙 公海、領海上でミサイル防衛システムを使ってミサイルを撃破するのはいいと思います。しかし、日米同盟があっても必ずミサイル攻撃を防御できるとは限りません。本当の安全措置は、そのようなことが起きないよう相手方とよく交渉しておくことです。

・硬 仮に攻撃を受けてしまっても、反撃・報復攻撃もできないんですか?。

・乙 原則的にはそうです。ただ、2度目、3度目の攻撃を受けないよう特定の発射基地をミサイルでたたくことが、自衛の範囲で許されるかどうかは、研究の余地があるかも知れません。

・硬 今安倍内閣が問題にしているアメリカに向けたミサイルの撃墜はどうですか。

・乙 「集団的自衛権」だといって、日本と違う憲法を持つ国に合わせることはないでしょう。外国に出ていって戦争ができる国、先制攻撃もあえて辞さない国に荷担すれば、結局憲法無視に追い込まれてしまいます。戦争とはいちいち法律解釈をしておこなうものではありません。勝つためには「なんでもあり」の世界です。暴力装置である軍隊の性格とは本来そういうものです。

(つづく)

2007年7月8日

今なら間にあう

 赤城徳彦リリーフ農相の政治資金疑惑で、安倍内閣はいよいよ窮地に立った。普通ならとても内閣がもたないはずなのが、参院選があることでかえって居直りの道具になっている。反安倍派は、野党優勢で凱歌をあげたいところだろうが、窮鼠猫を噛むのたとえ、与党善戦で安倍内閣延命の結果を生むかも知れない。そこで9条死守を願うわが委員会は、野党各党に最後のお願いをしたい。

 9条擁護を掲げる党は、次ぎに相当する候補者がある場合、立候補辞退をしていただきたい。

 1.選挙区の得票数が次点におよばないと思われる候補者。ただし同一選挙区に9条擁護を表明する候補者が他にいない場合をのぞく。<br /> 2.選挙区で複数の9条擁護候補者が当落線上で競い合っている場合、立候補表明が遅かった方の候補者。

 立候補辞退戦術は、かつて実際に行われたことがあるが、「有権者を愚弄するもの」として非難され、以後採用されたことがない。しかし今回は違う。9条擁護を本当に真剣に考えていた政党はどこか、の証明になる。比例区は迷わずその政党に投票することにしたい。

 護憲統一戦線とか選挙協力については、昨年末以来、直接またはブログ上で再三各党にアピールしてきたが、いずれも無視され回答も得られない、という始末だった。したがって、こんなことを言ってもなんの役に立たないことは承知している。しかし、護憲を標榜しながら、実は9条改悪に手を貸した政党はどこか、ということを選挙民は目ざとく知ることになるだろう。

 ここでさらに有権者に訴えたい。今度の参院選は、改憲を問う最初の予備国民投票になるということである。いま、具体的な改正案が出ているのは自民党だけである。しかし、与党や民主党の中でも必ずしも意見が一致しているとはいえない。そこで個別に候補者を選別する必要がでてくる。特に公明党支持者が自民党を応援する場合、タカ派を避けてほしいものだ。

 有権者は、まず自分の意志にそむく死票を出さないようにするのが第一だ。だけど死票を恐れて棄権するのは最も悪い。9条擁護をうたう党に投票するだけで、仮に死票になっても自民党流改憲への反対票にカウントされ、「集団的自衛権容認論」など改憲路線にブレーキをかけることができるからだ。

2007年7月9日

戯説・忠臣蔵

 頃は元禄X年、江戸城内御座の間は、将軍綱吉に伺候する柳沢大老が平伏。

*大老 こたびは、赤城上野介、公金隠匿の疑いあり、取調いたしましたるところを、言上いたしたく参上仕りました。

*将軍 苦しゅうない。申せ。

*大老 上野介は、父母の住む実家ならびに婚家の上杉藩にて公務に使用、疑わしきことはないと申しおります。

*将軍 実父母、ならびに上杉では、そのような向きに使用したことはないと申しておると聞いておるぞ。

*大老 はい、その点父母たちについて「勘違いをしているか昔のことで知らぬことである」と申し開きをしております。

*将軍 (怒気をこめて)なに!!聞き捨てならぬことを。父君の方がまちがっていると申すか。余は父君、母君と言い条が異なったときは、必ず詫びて父母に従った。孝道は神君の遺訓である。たとえ家臣であっても他にしめしがつかぬではないか。許すこと相ならぬ。

*大老 さらに、おそれ多いいことながら、下々から詰めの間まで「お上は、何故あのような者を勅使接待役指南に命じられたのか」などと噂する輩まででてまいりました。このような仕儀に相至りましたること、幕臣にはあるまじき不忠の極み、忠孝の道をふみはずした不届き者、浅野家に預け直ちに切腹申しつけるが上策かと存じます。

*将軍 よきに計らえ。

 ……てなことにならないだろうな。安倍将軍のとりまきにいる「教育勅語」大好き人間なら、「美しい国」は、こっちの方なんだけど。

2007年7月10日

自衛隊をどうする 3

【専守防衛の姿】
・硬 憲法に盛り込まれるべき専守防衛の「新・自衛隊」は、どんな姿になるのでしょう。

・乙 憲法にはあまり細かいことまでのせられませんが、国外への武力行使はしない、という大原則ははっきりさせなければなりませんね。

・硬 それでも今の自衛隊のように、外国からは「軍隊」と見られてしまうかも知れない。まず手始めに各国共通の迷彩服というのをやめ、さわやかでカラフルな色にしたらどうでしょう。

・乙 装備などはその時々でいろいろ変化するでしょうが、かつてのソ連の北海道上陸を想定したような、戦車、対戦車用ヘリコプタ、クラスター爆弾といった陸戦を想定したものはこれからいらなくなる。それより海と空をしっかり監視し、侵犯を許さない、という体制を整えた方がいい。

・硬 軍事アナリストの小川和久さんによると(毎日新聞・07/5/8)、海上自衛隊の護衛艦や哨戒機などを使って敵の潜水艦を補足し攻撃する能力は世界2位、航空自衛隊の防空戦闘能力は、世界3~4位だそうですね。

・乙 日本は専守防衛型ではあるが、すでに極東における軍事大国ですね。最近中国も国力に応じた軍事力の増強をはかっているが、専門家の目で見ると脅威という域には達していない。ただ、日米ともに防衛関係筋から出る資料は、予算ほしさに脅威を言い立てるのが当たり前になっています。

・硬 中国が日本を攻撃する可能性は?。

・乙 まあないと言い切った方がいいが、台湾で戦争が起き、米軍が沖縄などの基地から本土に向けて発進すれば、先方にも反撃する口実ができます。そんなことにならないよう、中国が一番神経をとがらせているところでしょう。

・硬 次に核武装についてですが。
・乙 たまたま、久間前防衛相の「原爆……しょうがない」発言があって、日本中が大騒ぎになったばかりです。わが委員会は、あいまいな不用意発言で辞任に価すると主張したが、同時に核について議論すること自体、嵐のような非難発言の中で封殺されてしまうような現象がこわい、ともいいました。

・硬 本島・元長崎市長が、「議論を活発にするという点で是認できる」といった趣旨のコメントをしたという報道がありましたが。

・乙 まさにその通りです。今週日曜日の党首討論番組で、野党は核廃絶や核軍縮について、日本政府の対応のにぶさを突きました。それに対して首相は国連決議の提出などをしているなど、その努力はしている、といった答えをしていましたが、このような議論がTV番組に出てきたのは初めてではないでしょうか。しかし、ほとんどの人が「核の傘」や「核抑止力」、「核の脅威」信奉者なんですね。そのためか、建前と本音が違うのでその先議論が進みません。

・硬 アメリカや北朝鮮のやりかたは、核の脅威を外交で最高度に利用している、ということになります。ということは、まだ政治宣伝の道具として利用価値があるというわけです。さらに広島、長崎について米国に謝罪を求めるなどという議論がありますが、言われたら言い返すといったナショナリズムの応酬では進歩がないし、有害無益でしょう。しかし議論しなければそういう結論にも持ってこれない。

・乙 「実際に使えない核兵器は、持っていても時代遅れ」と言い切ってしまいたいのですが、それには核や核兵器、そして国際問題に対する深い知識が必要です。だから、本気で核軍縮、核廃絶に取り組むためには、核保有国以上に議論をし、それらについて研究を積まなければなりません。特に核大国アメリカを説得するには、相当な迫力が必要です。核兵器を持っていないがいつでも持つだけの力がある、と思わせておくことは不謹慎なことでしょうか。

・硬 核兵器には、ミサイル同様暴発とかうっかりミスもあり得るわけで、人類がその危機から逃れるためには、核の国際監視体制、核軍縮を手始めに究極的には核廃絶にもっていくしかありませんね。それには、9条厳守の日本、核は持たないがその廃絶を主張する資格のある日本が、表に立っていくということですね。

(つづく)

2007年7月12日

自衛隊をどうする 4

【まず安倍政権の退陣から】
・硬 前回は現在の自衛隊がすでに強力な実力をそなえていること、核議論も逃げずに取り組むことなどをとりあげましたが、これらを肯定的に考えるのは9条が厳守されるという前提でできることなので、現在の安保体制(日米同盟)で「集団的自衛権」を前面に出す考え方、つまり安倍政権のもとでは成り立ちません。

・乙 わが委員会は、もともと日米同盟に合わせて憲法を変えるのではなく、憲法にあわせて日米同盟を変えるべきだ、と主張しています。今日、参院選の公示日を迎えました。この構想を実現させるには、アメリカ従属から抜け出し、せめて西欧やカナダ並みの交渉力を持たなければなりません。また、戦前の国粋主義に郷愁を抱き続けるという矮小な思想の政治家に、日本の将来を託すのかどうかの分かれ目です。9条を守りきるという強い国民の意思を、まず選挙で表明すべきです。

・硬 わが委員会の悪いクセ、どうも固い話になりがちですね(笑)。今回は災害出動や国際貢献の話にしましょう。まず災害出動ですが、中越地震などでもテレビの映像などで自衛隊の頼もしい活動が紹介され、国民の評価はすでに定着しているといえるでしょうね。

・乙 そうなんですよ。それをイラク派兵反対などの国民の運動を隠れて監視するとか、沖縄の基地計画の促進に軍艦を動員するなどして、折角の好感度を台無しにしています。

【海外派遣】
・硬 災害出動には、被災者の救出・生活援護と復旧活動がありますね。いずれも機械化された機動力と機能別に専門化したマンパワーがものをいいます。こういったノウハウを海外でも発揮できるといいですね。

・乙 自然災害などでは、応援はありがたいが軍隊には来てほしくないというケースがあります。国内に紛争を抱えている国はもとより、ちゃんとした独立国なら当然考えます。「新・自衛隊」が「軍隊」でない、と国際的に認知されるようになれば受け入れるかも知れませんが。

・硬 これまでも「国際貢献」と称して何度も自衛隊を海外に派遣していますが、「新・自衛隊」が海外に行く条件はどうなりますか。

・乙 行き先に紛争がないこと、または解決していることが第一で、その国や国連から要請を受けていることでしょうね。だからイラクのように自爆テロが頻発している国には行けません。

・硬 それは、戦闘地域ではなく治安維持ということにはなりませんか。

・乙 アメリカは「テロが主要な敵」ということを公言していますから、泥棒を取り締まる「国内治安維持」ではないでしょう。「戦闘地域でない」という詭弁はイラクの場合成り立ちません。最初、戦闘地域でなくとも、自衛隊が紛争にまきこまれるような状況になれば、いち早く撤退すべきです。

・硬 日本は「腰抜け」だ、と非難されかねませんか。

・乙 自衛隊は命を惜しまず困難な任務にも邁進すべきだと思います。しかし戦闘地域にいるだけで、武力行使にまきこまれたり、武力行使をする国に荷担または対敵する危険を避けられません。憲法を犯さないためには、そうするしかないでしょう。国会やマスコミにも、危険だから撤退するという議論がありますが、それはまちがいです。

・硬 戦争可能な国と協働する多国籍軍や、後方支援と称する洋上給油、武器・兵員の輸送も違憲のおそれ濃厚。こういった際限なくふくらんでいく拡張解釈をなくするためにも、憲法上でしっかりした「しばり」を入れておく必要があるということですね。ほかに、国連決議や日米同盟などのからみもあるが、それは次の機会にしましょう。

(つづく) 

2007年7月13日

自衛隊をどうする 5

【立花隆氏「護憲論」への反駁】
 シリーズ3、4を対談形式で続けたが、これまでの記述に、書いた立場として、また読んでいただくにしても未消化な部分を残しているような感じがしたので、対談形式を中断してそれを述べることにした。

 そのきっかけが、月刊『現代』8月号に掲載された立花隆氏「私の護憲論」第2弾である。その中で、9条の先見性に高い評価を与え、これを堅持するということと、現憲法をどうしても変えなくてはならないという緊急性、必要性を認めない、としている。

 基本的認識に異論はない。ただし、加憲論として、環境権や知る権利などを盛り込む(公明党の主張にあるが)ことに緊急性がない、という点では同感だが、《自衛隊はすでに合法・合憲の存在だから「必要性の誤信」による「軽々の変更」という軽佻浮薄な改憲論者》、という罵倒にはわが委員会として答えざるを得ない。

 立花は1940年生まれ、終戦時5歳、「我々の世代は戦前戦中の日本の話を聞けば聞くほど、そんな異様な時代が本当にあったのだろうかと信じられないほどの違和感を持ちます」と文中述懐している。立花と人生の大部分を正常で民主主義の時代に生きてきたのだが、「信じられないほど異様な時代」の体感者でもある点がちがう。

 我々の父母、そして世間は決して「異様」でも「奇怪」でもなく、フツーの平和愛好者たちだった。私が歴史を説くまでもない。大正から昭和にかけていろいろ起きた事件、社会の潮流、そういったものが、《ある「はずみ」》でとんでもない方に向いていった事実である。

 つまり、立花は立花のいう「安倍首相のような愚かな政治家が出現して、憲法改正こそ自分の政治的使命などと張り切りだす」危険性について、何ら危惧の念を抱いていない、個人の恣意も「はずみ」もあり得ないとする楽観論者と断ぜざるを得ない。もうすこし、氏の論法を見てみよう。

 憲法を改正しないと自衛隊が憲法違反の存在になって可哀想だなどと主張をする人もいるが、自衛隊は憲法違反の存在ではない。憲法上、日本国で唯一の立法権者である国会がそれを創設したのである。法制局も、とっくにその存在を合憲と認めているから、自衛隊法という組織法がちゃんと六法全書にのっている。毎年五兆円にもおよぶその存在を支える資金も、毎年の国会審議を経た上で、国家財政からでている。自衛隊は堂々たる合法存在である。

 著名な業績を残す氏の発言に揚げ足取りをするつもりはない。ただ、自衛隊の存在が合憲だとしても、特措法などその行動を規定する法律が、国会の審議を経たからあるいは六法全書にあるから合憲だ、ということにはならない。合憲か違憲かを判断するのは「法制局」でも立花氏でもない。違憲訴訟が起こされたとき、最高裁判所がこれを判断することも現憲法に書いてある。

 そういうことにならないよう、立法の際機能するのが法制局である。ところが役人征伐に血道をあげる安倍少年官邸団は、法制局が「集団的自衛権は行使できない」などというのは、「一部局の役人の分際で生意気だ」とばかり、まさにその機能を取り上げようとしている。さらに憲法第98条にはこう書いてある。

 第九十八条 [憲法の最高法規制、条約及び国際法規の遵守]この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

②日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 第2項でいう条約、つまり安保条約は国内法規をこえた遵守義務がある。集団的自衛権という文言は同条約にもある。その解釈を安倍お気に入りの元外交官や学者などで構成する「懇談会」にゆだねようとしている。こういった、自衛隊違憲の危機をどうやって乗り切るのか、そして9条形骸化を防ぐうまい方法があるのか、立花氏にいい知恵があったら是非教えてもらいたいものである。

2007年7月17日

反戦候補の見分け方

 毎日新聞(7/14)に21問からなる参院選全候補者アンケートが発表された。これからも同種のアンケートはいろいろ出てくると思うが、今のところわが委員会にとって最も関心事である「反戦指向」の候補者が誰であるかを突き止める絶好の調査である。せめて自分の選挙区ぐらいは候補者を見比べた上、投票したいものだ。

 まず、関係する設問をあげる。

【問6】憲法を改正すべきだと思いますか。
 ①改正すべきだ ②改正すべきではない

【問7】憲法9条を改正すべきだと思いますか。
 ①改正すべきだ ②改正すべきではない

【問8】憲法9条と自衛隊の関係について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。
 ①海外でも武力行使できる軍隊の保有を憲法に明記すべきだ
 ②専守防衛を前提に自衛隊の保有を憲法に明記すべきだ
 ③憲法9条を改正せず、自衛隊も現状のままでいい
 ④憲法9条を改正せず、自衛隊は縮小すべきだ

【問9】現憲法下で集団的自衛権の行使は認められると思いますか。
 ①認められる ②認められない

【問11】安倍首相は靖国神社を参拝すべきだと思いますか。
 ①参拝すべきだ ②参拝すべきでない

【問12】日本の核武装について、あなたの考えに最も近いものを一つ選んでください。
 ①将来にわたって検討すべきではない
 ②今後の国際情勢によっては検討すべきだ
 ③検討を始めるべきだ
 ④核兵器を保有すべきだ

 最も大切そうに見える【問7】の「憲法9条を改正すべきでない」だが、どっこいご用心。そう答えても、【問9】で「集団的自衛権の行使は認められる」、と解釈改憲の方に向いている回答が自民、民主双方ともにある。戦争美化につながりかねない【問11】の靖国神社参拝、【問12】の核武装もあわせて判断すれば、反戦度ゼロに極めて近いケースもあるのだ。

 わが委員会が立候補したとすれば、
【問6】①【問7】②【問8】②【問9】②
で、護憲が売り物の社民党に一貫している、

【問6】②【問7】②【問8】④【問9】②
という答と憲法観に差がある。しかし現実性のある真の反戦度は、わが委員会の方が高いと自負している。

 次に【問12】については、「核の問題は忌避をせず、発電であろうか武器であろうが積極的に研究・討論をしなければ核軍縮・核廃絶へ持っていけない」という考えなので、②の「国際情勢によっては検討すべき」にしようと思ったが、質問が「核武装」についてとあるので①にした。

 ところが、「平和」では右に出る者のない公明党比例区の半数以上が、揃って②と答えているのである。一瞬目を疑ったが、どうやらこのあたりの回答は、一括まとめて書かれた形跡が見える。他の回答にもほとんどばらつきがない。いかにも、同党らしいのだがすこし異様だった。

 さて結論であるが、自民党を除き改憲案がでていないことと民主党が争点からはずしたことにより論点が複雑化して、選挙民にはわかりづらいものになっている。しかし、最大と言われる年金問題も対処の方向で与野党に差がなくなり、格差問題や政治と金の問題も的が散漫で、選挙戦をどう左右するか予測がしにくくなっている。

 そこで、憲法や外交の問題が最浮上して来る可能性がある。ただし、アンケートによる個人の回答では、郵政民営化などで見られるような政治家の変節・転向が簡単に通用してしまう当今、直ちに信用することができない。やはり党として公約といえるような方針を打ち出すのでなければ、安心して投票しかねるのだ。

2007年7月15日

自衛隊をどうする 6

【際貢献国】
・硬 このシリーズの最終回として、また対談方式にもどり、「新・自衛隊」の「国際貢献」のあり方を考えたいのですが。

・乙 「新・自衛隊」の能力を活かして国際的に奉仕・貢献することに何の遠慮ももいりません。憲法第2章第9条でいう「武力による威嚇又は武力の行使」を行う「陸海空軍」ではないのですから。

・硬 それをはっきりさせるため、「新・自衛隊」の任務や行動の範囲をさだめ、憲法に加えておこうということですね。

・乙 まず派遣先の国が紛争地域、戦闘地域でなく、その国と国連の要請を受けてから行くというのが大原則です。また、国会決議も必要でしょうね。それと武力行使をしない前提ですから、護身のための最小限度の武器しか携行しないことになります。

・硬 端的に言ってカンボジアはいいけどイラクはだめ……とか。

・乙 その時その時でいい悪いを一概にいうのは難しい。しかし、丸腰に近いのは危険だから危険なところへは行かない、という意味ではない。場合によれば危険なところへも行かなければならない。先程いった前提条件が崩れた場合は、憲法違反のおそれが出てくるので、躊躇せず撤退するというけじめが必要です。イラクの場合は、国連決議のない戦争にアメリカが突っ走っていった。そして紛争の残っている国に自衛隊を派遣し、米軍やいわゆる有志国軍の手助けをし、また手助けを受けた、ということなのでどう見ても×でしょうね。

・硬 そこに「集団的自衛権」を持ちだそうというのは相当無理があります。私は「権利はあるけど行使できない」という歴代内閣が踏襲した解釈は、まっとう憲法解釈だと思うんです。安保条約のどこを見てもイラクにまで出ていっててアメリカを助けなければならないようなことは書いてない。むしろお互いの憲法を尊重しよう、といった精神が書き込まれています。

・乙 国連憲章ができたとき、中南米諸国を意識しながらアメリカが持ち出した概念を、今の日米2国間にあてはめようというのだからなあ。もしそうするなら、チャンとした日米相互防衛条約に変えなくちゃあならない。もちろん憲法違反だけど。

・硬 どこかに大量虐殺があり、国連でもすぐ手を打たなければという事態になったら?。

・乙 まず、平和裏に解決できないかさぐる。それがだめなら救出・避難援助まではいいが、虐殺者懲罰の武力行使はできない。湾岸戦争の場合も、ここらが限界でしょうね。コソボの虐殺はデマだったとか、カンボジアのポルポト派の虐殺に疑問ありという話までありますから。

・硬 この議論をしていると、はっきりいってきりがないんですね。憲法でうたうとすればどう表現がいいのか、海外派遣の基準、手続きはどう定めるか、慎重な議論・検討をかさねなければならない。

・乙 わが委員会でもまだこなし切れていないので、これからもさらに勉強が必要だということになるでしょう。

・硬 ではひとまずここらで終わりにしましょう。

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2007年7月 1日 (日)

理性と感情

[反戦老年委員会復刻版]

  対語とすれば「理性と感性」だろう。難解な哲学論争はにがてなので、テーマをあえて「理性と感情」にした。発端は久間防衛大臣の「原爆……しょうがない」発言である。最初に発言要旨が一番くわしく載っていたアサヒ・コムからその内容を引用する。

 日本が戦後、ドイツのように東西が壁で仕切られずに済んだのは、ソ連の侵略がなかったからだ。米国は戦争に勝つと分かっていた。ところが日本がなかなかしぶとい。しぶといとソ連も出てくる可能性がある。ソ連とベルリンを分けたみたいになりかねない、ということから、日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とした。8月9日に長崎に落とした。長崎に落とせば日本も降参するだろう、そうしたらソ連の参戦を止められるということだった。

  幸いに(戦争が)8月15日に終わったから、北海道は占領されずに済んだが、間違えば北海道までソ連に取られてしまう。その当時の日本は取られても何もする方法もないわけですから、私はその点は、原爆が落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだ、という頭の整理で今、しょうがないな、という風に思っている。

 米国を恨むつもりはないが、勝ち戦ということが分かっていながら、原爆まで使う必要があったのか、という思いは今でもしている。国際情勢とか戦後の占領状態などからいくと、そういうことも選択肢としてはありうるのかな。そういうことも我々は十分、頭に入れながら考えなくてはいけないと思った。

 この発言に対して、「日本の終戦決定がいたずらに引き延ばされたことへの反省」という同大臣の弁明を含め、私は時代認識のひとつとして成り立つ議論だと思う。もちろん、現職大臣の立場をふまえない、また直ちに誤解を受けかねない軽率発言であることは、いうまでもない。

 こういうと、このブログの多くの読者からお叱りを受け、従軍慰安婦の史的研究や評価について意見を書いた時のように、常連からはなれていく人がでることは覚悟している。しかし、ただ沈黙することが「反戦」にとって最善であるとは思えないし、自らを偽ることにもなる。

 今回の久間発言に対して、日頃政府寄りに見えたフジテレビのキャスターまで、感情あらわに久間バッシングにつとめるなど、メディアは非難一色に染め上げられているように見える。これと違う意見はこわくて言えない、こんな風潮に私はむしろ寒々としたものを感じる。

 久間発言への非難は「被爆者の感情を無視したもの」という点で一致している。そのとおりであって弁護の余地は全くない。「被爆」と「しょうがない」が短絡しかねない不用意発言をしたことは、すでに閣僚として失格であり即刻辞任にあたいする。

 しかし、慰安婦問題の米国会決議を逆手にとって、日本も原爆投下の責任追及をすべきだとか、ソ連(ロシア)への反感をあおるという(日本の戦争責任に蓋をしようとする)動きの方に、どうしてもある危険を感じてしまうのである。

 ブッシュ政権が、9.11事件に対するアメリカ国民のテロへの恐怖という「感情」をてことして、アフガン、イラク侵攻に踏み込んだ。その方向感覚を引きずったまま泥沼から抜け出せないでいのは、反論を封殺し「理性」を後回しにしてきたことに対する教訓だ。最近よくいわれる、刑事事件の加害者より被害者の「感情」を重視すべき、という意見にも似たような感じを持つことがある。

 あらゆる「理性」もその出発点は「感情」である。「戦争はいやだ」「戦争はきらいだ」というのも、勿論「感情」だ。だから「感情」は大事にしなければならない。しかし、それを二度と繰り返さないようにするのが人間の知恵であり「理性」である。

 政治家はもとより、識者、マスコミなどオピニオン・リーダーの役割は、「感情」を押し出し「愛国心」をはぐくむ前に、「知性」をみがき「知性」をはぐくむことであることを、忘れないでほしい。

2007年7月2日

時代の風

 体に風圧を感じるような風、荒れ狂う暴風もある。しかしそれはごく稀で、家の中にいれば庭の木の葉のゆれを見て、外に出れば肌に心地よく感ずる程度の風、時には風向きさえ気にならないというのが世間の風である。

 昨日のエントリーで、久間防衛大臣の「原爆……しょうがない」発言をとりあげ、世間を圧倒する非難の嵐に距離を置く投稿をした。さらに、従軍慰安婦についても、海外からの非難には慎重な検討と対応が必要という、過去の投稿に批判を受けたことも記した。

 その意見の違いがどこからくるのか、を考えてみた。どうも、その時代の空気や風をもとにした発想と、その後社会に確立した常識、倫理観が、かみ合っていないことに原因があるような気がした。

 しかし、その空気とか風の感じ方には個人差があるし、史料・証言にもなりえないとあれば、かえって記事に残しておきたいというような気持ちになった。以下は、いずれも体験でなく体感であることをおことわりしておく。

 まず「原爆……しょうがない」発言である。久間発言をたんねんに見ると、非常に苦心した慎重な言いまわし方をしている。それにもかかわらずポイントがどこにあるのか、真意を測りかねる発言が「しょうがない」である。

 そこで、「しょうがない」の前につく言葉として、1.「アメリカが投下を急いだのは」、2.「ソ連の北海道上陸が防げたのだから、原爆被害も」、3.「戦争終結をしぶる軍部を納得させるためは」、4.「戦争で市民が犠牲になるのは」、5.「すんでしまったことは」ぐらいが考えられるだろうか。

 1.と2.は、結果論で、近衛文麿元首相ならいざ知らず、当時の一般国民は「茫然自失」でそんなことを考えていない。むしろ3.と4.であろう。「ひでぇことをしやがった。許せない」という感覚があった一方、「戦争で市民に犠牲がでるのはお互いさま、ここで終わってよかった」という「しょうがない」感の方が強かったことは、否めない。

 敗色が濃くなり、戦局を一転させるため、殺人光線とか原爆とかが作れないものか、とある程度本気で願ったものである。その夢も、それこそ風まかせの風船爆弾に消え去ってしまったが、日本も原爆使用を望みながら使えずにすんだのである。原爆記念碑の「二度と過ちはくりかえしません」も「ああ許すまじ原爆を」の歌も、決して特定の国を念頭に置いたものでないことを、噛みしめるべきだ。

 次に、従軍慰安婦である。現在非難が集中しているのは、「性的奴隷」とか「人身売買」に政府や軍が関与した、と言うことである。両方とも相当刺激的な言葉だが、そのまま首肯することには問題がある。

 それは、公認売春制度に対する考え方である。売春が犯罪であり、それが女性差別虐待であるという現在の価値判断からすれば、非難は当然だし弁解すること自体が犯罪的である。女性尊重のアメリカ人がそう考えるのに無理はなかろう。

 しかし、戦時中日本政府や軍が「性的奴隷」や「人身売買」に組織的に荷担、それを促進していたかということになると、「それは違うな」という「風」を感じるのである。勿論戦時・戦場という環境の中で、超法規的な行為がなかったとはいいきれないが、復員者その他の話からは、それらを想像させるものがないのである。

 明治以来、近代化を急ぐ日本人は、公娼制度を好ましいものとしてきたわけではない。それだけに「性的奴隷」や「人身売買」にならないよう、さまざまな規制や関与を加えてきたのだ。<del>朝鮮出身者も当時は日本人であったから、当然共通の法のもとにあった。

(植民地に対する例外措置があったそうで、取り消します)

 GHQはさすがに終戦の翌々年、売春業の禁止を命令した。日本の法規で職業的な売春そのものを禁止する法ができて完全実施されたのは、それから11年も後の1958年になってからである。江戸時代以来の風俗・習慣を断ち切るのにこれだけの期間がかかったのである。

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