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2006年3月16日 (木)

人間・宮様

[反戦老年委員会復刻版]

 『高松宮日記第二巻』中央公論社、昭和11年1月8日より抜粋。

 (前略)近頃皇族が芸者に関係ある方あり、又そうした芸者の出る宴会や、待合いに出入りされることが人の話になつて困ったことゝ云ふ話。△△宮が新橋の芸者と関係なさつて胤を宿してゐるのがゐて、話題になつてゐる、そのオカミが相当の腕きゝで、早くなんとかしなくては愈々面倒になるだらうと心配している由。又△△王も△△宮もそうした方でこまったもの、△△宮がどうかしらぬが深入りさせてはならぬと考へる。

 皇族のさうした行動は直ちにお上の御徳に関することである。皇族は道徳的存在としてお上をとりかこんでゐなくてはならぬ、若い方が早くから堕落なさつては真にこまるのである。△△宮もあーした書生的なところのある方であるから、芸者に子を生ましてその処置につき誤りなき様になさり得るか?昔ならそれを方々にオシツケてしまへるであらうが、今は中々さうもゆかぬ、事ム官にしてよくそこを片付けられるだらうか。△△事ム官も近く金銭上の不取締の理由でやるさうだがどうなるか。彼が今までそうしたことはアレンヂしてゐたやうだが、それが居なくなつて結果はよくな[る]か却つて悪くなるか。

 問題は若き皇族も自覚せしめ道徳的に精進せしめるかである。何か青年団と少年団とかの運動に熱心ならしめることもよい方法である。 従来の軍人オンリイ、さはりのない様にの指導方針では余力の仕末にこまつて性的に堕落する。(後略)

 若い皇族の乱脈を分別を持ってお嘆きになる高松宮様も、当時弱冠31歳。兄君・昭和天皇の徳に傷がつくことを心配されその後始末まで気を配られている。そういったところが、かえて兄君としっくりいかなかった遠因なのかも知れないが、「神聖にしておかすへからす」の時代にあって、なんと人間くさい皇族が存在したことよ。

 なにも奨励すべきことがらではないが、この先皇室はどうなるのか。今、男系承継の旗を一所懸命に振りはじめた連中に、「神聖天皇復活」分子がまじっていて、占領軍から強制された「天皇人間」を否定し、皇室神聖化へ逆行させるようなねらいがあるとすれば、これまでのように「女系・男系どうでもいい」などとのんきにしていられなくなる。9条改憲とともに、ウォッチしていくにこしたことはない。

2006年3月18日

アメリカの脅威

 本委員会は今月9日に「脅威論3」という記事をあげ、「アメリカにとっての脅威はテロである」とした。しかしこれはまちがいであることがわかった。ここに「全面的に訂正とお詫び」を申し上げる。最近、アメリカは「国家安全保障戦略」でイランを「最大の脅威」であると公表した。

 そしてさらに9.11同時多発テロ以来の戦いで、「米国は戦時下にある」のだそうだ。したがってテロは、「脅威」ではなく目下「交戦中」に格上げしなくてはならない。

 しかし、あたっている部分もある。アメリカは客観的に見てイラク戦争について勝利したとはいえず、また勝利の見通しも先行き暗い。アメリカ大統領は、世界一の強国を信ずる国民の前で「負けました」とは、口が裂けてもいえない。すると方法は二つしかない。

 国民が選挙で大統領を引きずりおろすか、新たな敵を作ってでも戦い続けるかである。どうやら、ブッシュの報告は後者を指向しいてるような感じである。最終目標を「圧政国家」からの開放においたり、長期的な「思想の戦い」にするなど、これでアメリカ国民の「愛国心」をどこまでつなぎ止めることができるのだろうか。ブッシュばなれは、このところ急速に進んでいると聞く。

 アメリカはイランの何が「脅威」なのだろうか。核開発?。これは口実で本音ではない。イランが国連の意図に反するような強硬姿勢を続けることは、決して平和的とはいえない。だからといってアメリカに原子爆弾が飛んでくるようなことにはならない。「脅威」は、すぐ隣のイラクに大勢の米軍兵士がいて、引くにひけず、もし引いたらアメリカが大嫌いなイランの勢力が一挙にイラクを覆うということだ。そうすると勝利宣言はおぼつかなくなる。

 こうして、「脅威」はまず世論の支持をとりつけるため国内向けに製造される。イランの核開発が「脅威」でないことは、18日、日米豪三国外相会談の声明で「重大な懸念」としたことではっきりした。それはそうだろう。麻生外相が、ライスへのおためごかしに「脅威」などといったら、せっかく手に入れたイラクの石油開発利権をパーにするところだった。

2006年3月19日

国連中心主義

 小泉首相の後継者として、安倍官房長官の人気がアンケートなどでも群を抜いているという。私としてはこれまでの言動からして、麻生外相とともに最も後継者になってもらいたくない人だが、どうしてそんなに人気があるのかわからない。

 そこで「甘いマスク」だけでなく、人柄や政策についてもっと知りたいと思い、図書を探したら1冊だけあった。『この国を守決意』(扶桑社)がそれで、中味は同氏と元外交官・岡崎久彦氏の対談である。岡崎氏はテレビなどにも時々顔を出し、「アメリカについていればいい」という小泉外交の先導的発言を繰り返している人である。

 さて、肝心の安倍氏の政策・信条であるが、親子ほど年の違う聞き役の岡崎氏が一方的にしゃべりまくっている感じで、主役の方は日頃報道などで見る右派的発言に終始しており、特に目立つものはなかった。

 また、おじいさんである岸元首相が持っていたような、個性的な理念や見識といったものも感じられなかった。そのかわりに目についたフレーズが「日教組の教育の弊害」と「朝日新聞の偏向」である。

 安倍氏とは全く異なる発想を持つものであるが、残念ながら日教組の先生から教育は一度も受けたことがなく、皇民化教育や軍国教育の方では安倍氏と比較にならない実地訓練を経験した世代である。また、朝日新聞の批判記事は書いたことがあるが、継続購読をしたことはない。

 防衛のほかは教育問題に関心があるようだが、それが平和教育であろうが愛国教育であろうが、自分の好みに合うような子弟を育てるのが教育だと思われたのでは困る。ということで、この本では安倍氏の発言より、岡崎氏が外務省の国連局政治課事務官だった頃(1956年)次のエピソードの方がおもしろかった。

 私は、上司の課長から(国連中心主義について)原稿作成を指示されたときに、「国連中心主義とは何ですか」とたずねました。その課長は私に、「要するに国連中心主義というのは、アメリカの言うことを聞くということだよ。ただ『アメリカの言うことを聞く』とあからさまに言えば、みんないやがるだろう。だから国連中心主義と言うんだ』と、そう説明していました。

2006年3月20日

対米不安

 このところの本委員会のエントリーを読み返してみると、アメリカに関する記述が多い。それも、すべてといっていいほど批判的な内容で、あたかも「反米老年委員会」のような様相を呈している。そのような先入観念で見られるのは不本意だし、これからも批判を続けることになると思うので、「なかなかそうでもないよ」というところを一本入れておきたい。それに関連して、五百旗 真・神戸大教授の当を得た指摘(06/3/5、毎日新聞)があるので紹介しておこう。

 150年余にわたる日米関係史、それは日本の近現代史そのものである。日米関係は運命的といってよいほど重要であったし今もそうである。ただ、日米双方とも、必ずしもそう認識していた訳ではない。その乖離がさまざまな悲喜劇を産んできた。(それぞれの歴史的事象を省略)こうした事象を列記するだけで、近代日本の歴史にとって、アメリカが度外れた重要性をもつことが分かる。

 その重要性にふさわしい豊かな対米認識を日本人は持っていただろうか。国際政治は「力の体系であり、利益の体系であり、価値の体系である」が、アメリカの場合、三者がそれぞれに強く、独特である。とりわけ価値と理念を奉じ、よどみなくそれを振りかざす点で、米国は世界に例外的である。

 これまでの生涯で、それを「反米」というなら、今ほど反米的であったことはない。もっと区切って言うと9.11テロ後、イラク侵攻に走ってからのことである。それに、上述のようなアメリカの特異性に顧慮することなく、ただ盲従するだけの小泉政権がからんで、これまでにない警戒心を持たざるを得なくなった、いわば「対米不安」におちいったからである。

 個人的に回顧してみると、戦前すでに日本に入っていたポパイやミッキーマウス、子役女優シャリー・テンプルなど子供の時代からなじみだったし、戦後再上映されたターザン映画を見て、戦時中に習った和風泳法の「抜き手」ではなく、主演のジョニー・ワイズミューラーのようなクロールを早く覚えたかった。

 しかし、当時はフランス映画など欧州物の方に人気があり、アメリカ文化の真髄をみた気がしたのは、大人になってから見たミュージカル映画「グレンミラー物語」であった。

 中国を意識して、よく「価値観を同じくするアメリカ」などという人がいるが、これはウソである。アメリカを知らないか、その人個人の価値観である。日本民族の持つ価値観は日本独自のもので、アメリカと同じであるはずがない。太平洋をはさんだ両国は、はやく円熟した大人のつきあいができるようにしたいものである。

2006年3月21日

社民党の急務

 22日に社民・共産両党首脳が、憲法擁護をめぐって「お食事会」をするという。社民党福島党首はさきごろ民主党の前原代表などとも「お食事会」をしたようだ。社民党内部には、「9条を護るためには社共だけでなく、民主、公明、自民の一部まで取り込まなければならない。

 そのためには、共産党が主導するとマイナスになる」という意見があると聞く。憲法擁護を標榜する社・共両党、ことにその元祖であったような社民党が、ここまで凋落してきた経緯を考えても、今「お食事会」や選挙協力など、悠長なことを考えている暇はないはずだ。

 一途な「改悪反対宣伝」や自民党案の勉強会はもういい。今すぐ立ち上げても遅いぐらいの、重要な政策にどうして目が向かないのだろう。そのひとつが日米安保条約(日米同盟)の見直し問題である。同条約は、日本の敗戦と、米ソ冷戦激化という50数年前の世界情勢を背景に、アメリカの圧力のもとで生まれ、一度の改訂を経ているが基調を大きく変えることなく受け継がれてきた。

 その後情勢は大きく変化している。それを受けてアメリカも世界規模の国防体制見直しをしており、日米同盟改訂の時期にあることは十分承知している。しかしそれを言い出さないのは、現状の米国に有利な条件を維持し続けるとともに、同盟関係の「変革と再編」を進めるうえで、すでに違反状態になっている憲法を変えさせた方が好ましい、と考えているからではないか。

 ところが、現憲法を守り通すということになれば、すでに幾多の矛盾を内包している日米同盟を白紙に戻して再検討することが必要になってくる。そして、戦後半世紀も続いてきた日米関係を再構築し安定させるには、これから先また10年20年の歳月を必要とするかも知れない。社民党にはそのためのロードマップを示す用意がなくてはならない。

 次ぎに必要なことは、どうやって自衛力を確保するかに答えることである。「国際紛争解決の手段としての軍隊を持たない」つまり攻撃用の軍隊をもたないことが、一種の自衛手段につながるということは認める。ただし、それは国民の強力な国家防衛意識の裏付けがあってこそ成り立つのであって、「侵略・侵入ご自由に」の態度では、悪意ある国家を誘導・誘発することにもなりかねない。

 「自衛隊を段階的に解消する」のではだめだ。「自衛隊」の名称が問題なら直ちに呼称を変えて、専守防衛の強力な組織にする。「日本の国は、日本が守る」という強い意識を持つことで、はじめて日米安保の改訂が可能となり、平和憲法を守り通せる道が開ける。こういった展望があってこそ、護憲政党に多くの支持を集めることができる。これにも具体的なプログラムが必要になってくるが、果たして社民党の体質でこれが可能かどうか。小所帯の強みをこんな所で発揮するよう期待したい。

2006年3月23日

墨子

 紀元前479年、楚の恵王に対し、公子であった白公勝が内乱を起こした。その時、白公は王子の閭を捕らえて胸に剣を押し当て、「王になるならば殺さないが、そうでなければ殺す」と脅迫した。これに対して王子は「侮るな!、我が親を殺して楚国を得て喜ぶと思うのか。たとえそれが天下であっても、義に反してそのようなことはしない」と叫び、その場で殺された。墨子の弟子・孟山が、その「義」をほめたたえたことに対し、墨子は次のように説いた。

 「子墨子曰く、難きは則ち難し、然れども未だ仁ならず。若し王(楚王)を以て無道なりとせば、則ち何が故に受けて治めざるや。若し白公を以て不義なりとすれば、何が故に王(王位)を受けて白公を誅し、然して王を反(かえ)さざるや。故に曰く、難きは則ち難し、然れども未だ仁ならずと」

 すなわち、どんな立派なことを考えていても王にならなければなにも成就しない。時にはすじをまげてでも、実益を得るように行動しなければ何の意味もない、といっているのである。

 前回の投稿に加えて、これを社民・共産・民主リベラル派の政治家に呈上したい。なお、墨子は戦国の世にあって「非戦論」と「実利主義」を唱えた諸子として知られている。

 「一人を殺せばこれを不義と謂い、必ず一死罪あり。もしこの説を以て往かば、十人を殺さば不義を十重し、必ず十死罪あり、百人を殺さば不義を百重し、必ず百死罪あるべし。かくのごときは天下の君子みな知りてこれを非とし、これを不義と謂う。情(まこと)にその不義を知らざるなり。故にその言を書して以て後世に遺す」

2006年3月24日

ダンスの流行

 団塊の世代が定年を迎えるにあたり、社交ダンス流行の気運が高まっているのだそうです。すると戦後二度目のブームになるのでしょうか。もう50年も前の頃、新しい靴も満足に変えず破れた靴下もつぎはぎの残る時代でした。

 会社の終業時刻になると、事務机を隅に集め床を広くします。そこで一歩先んじてダンスを習っていた社員の指導で講習会がはじまります。「ハイ、スロースロー、クイッククイッイク」。

 田舎ポット出の新入社員も、男女先輩社員に協力しなければなりません。しかし生来の不器用さもあって、結局ものになりませんでした。

 しかし、流行した音楽だけは忘れません。昭和23年「懐かしのブルース」25年「水色のワルツ」、27年「テネシー・ワルツ」「ゲイシャ・ワルツ」。この頃になるとジャズやマンボが花盛りになり、社交ダンスはオジサン芸で下火に向かいました。

 また、スローテンポの歌曲は、「歌声運動」にその座を奪われていきます。

 「歌は世につれ」といいますが、社交ダンスブームがなにか次の目新しい流行を生み出してくれることが楽しみですね。

2006年3月25日

安保の限界 1

仮想定例委員会

*平 安保問題、むつかしいねえ。どこから手をつけたらいいのやら。

*硬 なにしろ最初が1951年(昭和26)締結の全部で5条、60年(昭和35)に改訂して10条、それ以来ずーとそのまま変えていない。

*停 最初の頃は、左の方が「日米軍事同盟だ!」というと、「そうではない、経済と安全で協力しようという条約だ」といって、「同盟」という言葉を避けていたのよね。それが小泉さんはじめ、みんな日米同盟、日米同盟というようになった。いつごろからなのかしら。

*乙 最初に口をすべらしたのが1981年頃の大平首相、続く鈴木首相はアメリカのプレッシャーを受けて文書上でも「同盟関係」をうたうようになった。アメリカにしてみれば「軍事同盟は軍事同盟、まやかしは許されない」ということだろ。

*平 プレッシャーというと?。

*乙 自衛隊、防衛関係予算の増額だ。米軍の占領は終わったが冷戦は厳しさを増すばかり、アメリカは日本列島を共産陣営の橋頭堡として基地を置いておきたいし、日本も全部引き揚げられたら困る。そこで最初の安保条約ができた。それは、アメリカが日本の防衛義務を負うわけではなく、占領を一部継続するような一方的な物だった。その頃からアメリカは国土を自ら守る国防力の増強を吉田首相に迫り、吉田は平和憲法の存在をたてに抵抗した。

*硬 岸首相は、それを独立国にふさわしい相互防衛条約的なものに変えようとした。そして、日本への攻撃は双方の国の安全を脅かすものとして対処・行動することを宣言し、防衛能力の維持増強、米軍基地の極東への影響力行使と協力、経済協力などを合わせて盛り込んだ。

*停 だけど、アメリカの領土が攻撃されたとき日本が助けに行くことになっていないから、アメリカから日本が一方的に守ってもらっている、「安保ただのり論」などといっているのよねえ。

*平 ちょっとまって。これを見ていただきたい。

【ワシントン6日=滝本匠本紙特派員】米国防総省はこのほど、米国外に駐留させている米軍の駐留経費で、世界中の同盟国による2002年度の負担額をまとめた。それによると、同盟国全体での負担合計額約85億ドルに対し、日本の負担額は44億1134万ドルと50%以上を占め、世界的に見ても在日米軍の存在に突出した費用を負担している現状が明らかになっている。

 国防総省がまとめた報告書「共通の防衛に対する同盟の貢献」によると、日本は在日米軍駐留経費全体の74.5%を負担しており、米軍駐留経費の負担額の比率で見ても、他同盟国の中で最も高い割合となっている。

 世界全体で見ると、各同盟国が拠出した総負担額85億ドルは、米国外の米軍駐留経費総額の50%以上に当たるといい、そのうちの半分以上を担う日本は世界の米軍の他国駐留費用の約4分の1を負担していることになる。

 同報告書によると、在日米軍駐留経費で日本は、直接経費負担が約32億2800万ドル、税金や各種手数料の権利放棄などによる間接経費負担が約11億8300万ドルとなっている。(琉球新報)

*停 ええっ!。ただのりどころじゃないよ、これじゃあ。アメリカの方がただのりだわ。

*硬 この24日、在日米軍再編に関する外務・防衛審議官級協議というのがあった。そこでは、アメリカ側が沖縄の海兵隊をグアムに移転する費用として、そこに整備する司令部施設、港湾、隊舎など約100億ドルの75%約8800億円を日本に要求した。(25日・毎日)

*停 75%も?、自分の国に帰るだけなのに、よくはずかしくないわね。

2006年3月26日

解放感

 閉塞感、このところのご時世は、この一語につきる。その最たるものがライブドア関係事件だが、期待した検察の大捜査はその後音なしの構え。国会は前代未聞の「民社詫び状」で機能が麻痺。外交に目を転じても、小泉我流は通用せずアジアはもとより、ポチのご主人まで困っている孤立ぶりだ。

 そんなとき、わずかに開放感を味わせてくれるのがスポーツだ。荒川選手の華麗な技での金メダル。王ジャパンは野球世界一。本来ならばこれらは「一陣の涼風」といった表現になるのだが、世の「閉塞ぶり」があまりにもひどいので、あえて「開放感」にまで気分を昂揚させてしまう。

 私にとっては、これに大相撲がひとつ加わった。26日の千秋楽、ハプニングは魁皇・白鵬戦に起きた。最年長大関の魁皇は先場所負け越し、今場所も負け越せば大関陥落となる。予想に違わず6日目までに2勝4敗の星、引退宣言は今日か明日かと取り沙汰されるなか、「自分で納得できるまで取ってみる」と答えて、7勝7敗にまでこぎつけた。

 片や白鵬、若手モンゴルの星は、大関昇進を決めて絶好調。この日は、魁皇をくだして横綱・朝青竜と1敗同士が優勝を争うはずだった。初優勝の晴れ舞台をみてもらおうと、正装の両親と兄弟も会場に招いてあった。

 ところが奇跡が起きた。大相撲最後の取り組みになるかも知れない魁皇は、見違えるような素早い立ち会いのもと、かつてならした強腕で右上手をとると万全の圧力でよりきった。いつもは可愛い感じの柔和な顔の魁皇だが、取り組み後も珍しく危機迫る気迫の表情を変えなかった。

 これで「頑張る」魁皇の顔を来場所も見られる。あとの取り組みも来場所に大きな楽しみを残した。栃東が横綱を破り、来場所も横綱昇進を期待することが可能になった。横綱と白鵬が2敗同士となってやはり優勝決定戦となった。モンゴルの先輩・朝青竜も、新進気鋭を寄せ付けない、という横綱の意地をみせ、みごと16回目の優勝を飾った。

 野球ほど騒がれないので、あえて記事にしたが、来場所は琴欧州を含め、横綱・大関陣6人中3人が外国人となる。しかし相撲の醍醐味からそれへの抵抗感は確実に薄れてきた。若手も力をつけてきており、野球より相撲の復権の方が早いのではないかという感じの場所であった。

2006年3月29日

安保の限界 2

仮想定例委員会

*平 安保の歴史は長い。しかし環境はすっかり変わった。安保のあり方や役割も劇的に変化しているのだがあまり気づかれずに過ぎている。その詳細は研究書などに譲るとして、庶民感覚で見るとどうだったのだろう。

*硬 最初が占領軍撤退のあとの空白を埋めるため、つぎに共産主義の防波堤として、さらに米軍の経費を負担しながら基地を恒常化する方向に進み、最後はブッシュの新世界戦略に即応した米軍再編の一環にを果たす役割を負っている。簡単にいえばそんなところだろうね。

*停 安保というのは、外交と軍事だわね。だから当然秘密がからむ。協定書なども、英語、日本語の違いで微妙な解釈の違いが出てくる。もう一ついえば、実態以上に政治目的が先行しちゃうということかしら。なかなか素人にはわからない。

*硬 むつかいしねえ。戦前でいえば、松岡外交が強引に日独伊三国同盟を方向づけて、日米開戦を避けられなくしたとか、そういうこと?。

*停 うーん。実例ではうまくあてはまらないけど、やはり反共とかテロ組織撲滅というような、単純で粗雑な戦略目標を掲げてしまうということかしら。それに、政治と現場のズレというのもあるわね。

*硬 対共産主義というのは相当長く続いた。しかし、今反共を唱えている人の多くは共産主義など知らないよ。共産中国や北朝鮮とその手先の日教組と朝日新聞といった短絡思考しかないんだなあ。

*平 アメリカののど元といえるキューバなど中南米まで社会主義革命が押し寄せ、東欧、アジア、アフリカなどでも次々とソ連の勢力圏がふえていく、アメリカや日本の保守層が真剣に日本の共産化や中立化を恐れていたという時代が、過去にはあったんですね。

*乙 1950年前後だろうね。急速に普及したマルキシズムは、その論理においても知識人を引きつけるだけの魅力があったし、アジアでも中国、朝鮮、ベトナムなどでは腐敗や独裁が目立つ自由主義陣営より、計画経済や農民開放などを掲げる共産陣営の方が勢いがあったね。大学の講義なども「マル経」一色だった。

*硬 冷戦下の安保は、国内の過激な共産主義者というか、共産主義特有のインターナショナリズムに染まり暴力革命を肯定する一派がいた。それを共産国が支援するという「間接侵略」だな。旧安保は米軍がこれに対処できることになっていた。もう一つは「代理戦争」といわれる局地的な熱い戦いだ。朝鮮でもベトナムでもアメリカがその矢面に立った。その意味で、日本はアメリカの安全にとって非常に大切な防波堤だったわけだね。

*停 ソ連解体からもう10年余りたっているのよねえ。今ごろ、共産国だから中国や北朝鮮が攻めてくるとか共産主義を輸出するとか考えている人っているのかしら。

*硬 ロシアも中国も国内にイスラム教徒をかかえていることだし、対テロ対策でアメリカと共同戦線を組みたいぐらいじゃないのか。国際共産主義なんていうのは、ソ連崩壊前から幻想だった。

*平 日本が共産主義の防波堤、というのはすでにない。アメリカも世界戦略を変えている。その中で安保はそのままでいいのか。そこらを次ぎの回につなげたい。

2006年3月30日

安保の限界 3

 当委員会は、これまでの討議の結果、次の理由で、現・安保条約改訂を検討すべき時期にあることを宣言し、政治家の奮起をうながすものである。

[改訂すべき理由]
 安保条約は締結以来45年間一度の改訂もなく、次に見るように締結後の情勢の変化に対応できていない。

1.冷戦が終結し、日本が異なる政治体制の国(共産国)から攻撃される理由、状況が消滅した。

2.締結当時からみて、日米の経済力、技術力の格差が縮小した。

3.米軍基地の配備、任務、役割などが大幅に変化した。

4.相互防衛条約と日本国憲法の整合性に問題を生ずる事態が多くなった。

5.国連改革、あらたな集団的自衛権構築、全方向平和外交推進などの障害となる。

6.安保の存在が現行憲法を改定する有力な根拠になっている。(憲法と安保の改訂について、憲法を先行させるのは邪道)

[改訂の過程]

1.従来の外交姿勢から、小泉内閣またはその亜流内閣では改訂不可能。日中、日韓の関係正常化と発展の実現が前提。

2.改訂の申し入れから交渉開始まで数年かかると思われるので、素案の検討は直ちに開始しなければならない。

3.改訂には非常な困難を伴うと考えられるが、吉田首相や岸首相、それ以後の首相も米国の圧力を回避するため、時には野党の攻撃を盾にとるなど、国益を最優先して対抗し交渉に当たった前例がある。

4.前回にくらべ、改訂の時期として基地縮小問題など日本に有利な条件を持ち出しやすい。

 ソ連崩壊後10数年経過しているが、当時刊行された『日米関係の構図』の著者、東京国際大学・原彬久教授は、その巻末で冷戦後の安保の姿を次のように予測している。

 米ソ冷戦崩壊後の延長線上に生まれる新しい安全保障システムは、ソ連を排除し中国を除外しつつ日米をその中核にしてつくられるということはありえない。長期的視野に立てば、個別的、閉塞的な安全保障から普遍的な安全保障への道は必然的である。アメリカは「アメリカの安全」を守るために、つまり、アメリカの国家的、個別的安全を守るためにこそ、日本、ソ連、中国その他のアジア太平洋諸国を加えた、より普遍的な安全保障体制に向かわざるをえなくなるであろう。

 この予測を大きくくつがえす要因は、現在のところ見あたらない。しかし今まで放置されたままになっている理由は、最初の回に触れたように、現条約を維持することで、アメリカ側は、本国を含め最も低コストな日本の軍事基地を確保しておけることと、日本の政治家が安保の隠れ蓑に安住し、諸般の外交努力を怠っていたこととなどしか考えられない。

2006年3月31日

山岡鉄舟

 勝海舟と西郷隆盛が、官軍の江戸総攻撃を前に高輪の薩摩藩邸で会談し、江戸を戦火から救ったという、有名な話がある。この予備折衝というか、会談の結論を事前に導き出した功績者が当時33歳の旗本・山岡鉄舟である。ところが日本史の上では、勝海舟の手紙を持って使い走りをしたという程度の評価しかしていない。

 山岡が事前に勝に会って相談し、手紙を預かったことは事実だが、将軍・慶喜の恭順と和解の意を官軍に伝える大任を指示したのは将軍自身で、直接山岡に会って命令している。山岡を推挙したのは、将軍の身辺警護にあたっていた義兄の高橋泥舟である。したがって山岡と勝は面識がなく、最初は山岡も玄関払いにさせられるところだった。

 この打ち合わせで、勝は山岡の見識がただ者でないことを見抜き、本陣を駿府(静岡)まで進めてきた官軍説得に同意するのである。そこで、勝はすでに先鋒が川崎あたり迫る中、どうして本陣に達するのかということを聞いてみた。

 鉄舟は「臨機応変は胸中にある」と答えた上、「縷々として説明した」という。その説明した”口述”の内容は、『両雄会心録』に「官軍の営中に到れば、彼ら必ず余を斬るか、将た縛るかの外なかるべし、然る時は、余は双刀を解きて彼らに渡し、縛るならば尋常に縛につき、斬るとならば斬らすべし、何事も先方に任して処置を受くべし、去りながら何程敵人とて、是非曲直を問わず、只、空しく人を殺すの理なし、何の難き事かこれあらん」と説明したと記されているから、多分その事を指したものであろう。(大森曹玄『山岡鉄舟』)

 一介の下級武士に過ぎなかった山岡だが、剣道と禅の修行で武士道の真髄をきわめ、知力、胆力、気力それに至誠と体力がそなわる人材が、将軍側近の高橋によって見いだされた。そして、西郷との交渉でもその本領を発揮し、和平交渉を成功に導くことができた。前述のような武装を解除した「無手勝流」も、山岡の能力と至誠があってこそ、その効果を最大限に発揮できたのである。

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