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2006年3月12日 (日)

脅威論 4

[反戦老年委員会復刻版]

仮想定例委員

*平 アメリカにとっては何が最大の脅威かといえば、「テロ」だという結論を得たので、次ぎに中国を見ることにしよう。

*乙 その前に、アメリカの中東政策の失敗がだんだん表面化しそうになってきたね。ベトナム戦争で屈辱を味わったアメリカがその戦後処理をどうしたか、これは大いに研究しておく必要がある。特に1980年に就任したレーガンの頃から、戦争の大義を否定しその失敗を明らかにしようとする左派陣営に対し、ユダヤ系リベラル雑誌「コメンタリー」誌に集まった新保守主義者(ネオ・コンサーヴアティブ)達が、傷口を早くいやしたい大統領と利害が一致し、勢力をのばした(西崎文子『アメリカ外交とは何か』岩波新書)ことに注意しておきたい。

*停 今のネオ・コンというのもこの頃が始まりなのかね。

*乙 いや、よくわからない。そういった現代史の分析は、本委員会の手に負えるところでないが、ちょうどその頃、日本では、鈴木善幸内閣の閣僚が終戦記念日にそろって靖国参拝をしたり、教科書で侵略を「進出」と書き直すなどの問題がでてきた。敗戦の屈辱をくつがうそうという傾向が、日米に共通した現象として現れた点が研究の課題だね。

*平 さて、本題にもどって中国にとっての脅威とは何だろう。

*硬 かつてはソ連がありインドだったこともあった。今はやはりアメリカかねえ。

*乙 というより、内部の独立の動きだろ。台湾とかチベットとか西域のイスラム教徒とか。台湾は微妙だけど中国はあくまでも国内という原則をくずしていない。パンダを送るとかオリンピック聖火ランナーを走らせるとかを計画し、独立阻止にあらゆる手をつくしている。その意味で台湾の外側の太平洋も中国の防衛権圏に入ると思ってるのかも知れない。台湾の存在をいつも考えておく必要がある。

*硬 前にもいったことがあるが、台湾問題が平和解決しない限り、アメリカと日本を潜在的脅威と考える続けるだろうね。その意味で、先の戦争への反省を、日本がないがしろにするような動きを見せると、敏感に反応する。まだ、アメリカの方が信用できると思っているのかも知れないよ。

*停 06年度の国防費予算が4兆1100億円、89年以来2けたの伸びが続いている。だけどこれには兵器購入費や研究費などが入ってなくて、実際には2、3倍あるといわれているねえ。発表された金額が主に人件費じゃあインフレもあるし、たいして驚くような伸びではない。中国でも、日本に比べて低いレベルといっている。日本政府が「懸念」だといっているのは、主に不透明性のことだろうねえ。

*平 中国も気にしていて、近く米軍との交流を開始するような話もあるそうだ。民主党の前原代表のように「現実的脅威」などといっているようじゃ、このまんま日本だけ置いていかれるだけだよ。とにかくお互いが忌憚なく話せるような状態じゃあないものなあ。

*乙 中国にアメリカに対抗するだけの軍備を持とうという気はないだろうしできない。ただ東アジアの盟主的な存在になりたい、という野心はあるんじゃない。そのためには単に力で脅迫するだけではだめで、覇道より王道を選ばなければならない、というのが中国の伝統的文化だと思いたいね。

*硬 いやに楽観的だが、東シナ海のガス田問題も外交交渉で解決する構えといえるのかな。

*乙 その通り。ただ今までの日本の外交ではダメだね。ここは、アメリカの威を借りるということでなく、日本の国益を押し通す一途さ、これが相手に対する国交上の礼儀というものだ。

*平 私は最近、スターリンの評価が高まってきているというプーチン・ロシアの方が脅威だと思うんだけど、国内でそんな意見はあまり見えないねえ。結局「脅威」というのは、その時々の政治的事情で人為的に作り上げていくものだ、という気がしてきた。

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