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2005年11月 4日 (金)

憲法改正手続き

[反戦老年委員会復刻版]

 明治憲法、昭和憲法、自民党改憲案それぞれの改憲手続きを復習。微妙なところで、その性格の違いが表れています。

 大日本帝国憲法発議=勅命を以て議案を帝国議会の議に付す。 議決=両議院は各々その総員の三分の二以上の出席を要し、その三分の二以上の多数で議決。

 日本国憲法発議=各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議。承認=国民投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 自民党(1次・塾頭注)改憲案発議=衆議院又は参議院の議員。 提案=各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し国民に提案。 承認=国民投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2005年11月5日

反戦と政治

 このブログ「反戦老年委員会」は、「反戦」の立場についてどの党を支持する方からも賛同してほしいという願いから、「政治」ということばを副題からも抜き、できるだけ距離を置くようにしてきた。この考えは今も変わらない。

 しかし、この夏から秋にかけて小泉首相が見せた特異な執念とその手法に、戦後はじめて切迫した危機感を感じざるを得なかった。戦前と同じとまではいわぬが、「気がつけば」といったところまで持って行かれる可能性がゼロとはいえない状況にある。なぜならば、戦争の「本当のこわさ」を知らない人があまりにも多いからだ。

 今日、公明党全国代表者会議の席上、神崎代表は(小泉)首相、(麻生)外務大臣、(安倍)官房長官の靖国参拝を自粛すべきだ、という党の立場を明らかにした。これは、これまでの小泉外交路線に、要望ではなく明らかなNOを突きつけたことになる。また、来年は憲法について(加憲)案を発表する、ともいっている。

 今や、反戦平和勢力の中軸として力を発揮しそうな党は、共産党や社民党ではなくいわんや民主党でもない。それらの野党があまりにも不甲斐ないからだ。ここに至って、創価学会の原点にのっとった政策を与党の公明党に期待することもやむを得ないかも知れない。

2005年11月7日

公明党の正体

 前回、公明党が首相、外相、官房長官の靖国参拝自粛を求めたことに関連して、与党内にあっても憲法9条に手をつけないよう主張するのではないか、という期待感をにじませた記事を書いた。これについて多くのコメントが寄せられたが、過大な願望であり創価学会の体質や政治的野心についての疑念を捨てきれないというようなご意見が多かった。

 私の創価学会体験は古い。昭和30年より前だったと思う。独身寮の寮母さんが熱心な信者で、私と同室のT大出のエリートが折伏の第一候補になった。なぜならば、当時の社会情勢の評価を含め、法華経の解釈、学会の教義、日蓮、本尊、正宗のことなど、他の寮生が忌避する中で熱心に聞いてあげたせいだろう。おばさんから「あなたたち本覚というのよ」といわれたが、ほめられたのかけなされたのかわからない。池田大作会長出現前の話である。

 当時の二代目戸田城聖会長の活動の源泉は、反戦、反核の平和主義路線だった(参照・『創価学会解剖』朝日新聞アエラ編集部)。ちなみに寮のおばさんは戦争未亡人である。その後も同学会青年部や婦人部が反戦・平和で形ある業績を残していることも知っている。また池田名誉会長も国際活動などを通じて平和主義路線を継承しているように思われている。

 コメントをいただいたtani様のお薦めもあり、島田裕巳著『創価学会』(新潮新書)を買い一読した。その中でひきつけられた一文がある。そもそも学会員たちは、創価学会という組織と、信仰によって結びついているというよりも、前の章で見たように、利害で結びついている面が大きい。

 彼らが会員であり続けるのは、たんに池田を信奉するからではなく、相互扶助組織としての創価学会の一員であることが、現実的なメリットをもたらすからである。学会が信奉する価値観が「真・善・美」でなく「利・善・美」であることは50年前にも聞いた。

 しかし今や後継者の代にはいり、真・善より「利」が大きく追求されるようになったのだろうか。そういえば公明党の政治姿勢や学会(池田氏)と党の関係を見ていくと、まさにそこに重点が置かれているかのように写る点が多々ある。

 池田後継者問題が取りざたされているという。仮に集団指導体制がとられて、戸田・池田に引き継がれた平和路線が実利優先でますます先細りになるのか、組織活性化の起爆剤として再び平和路線戦術が表面化する可能性があるのか、外部の人間には想像がつかない。「政党に頼ることはではない」・・・・、まさにそのとおりであろう。

2005年11月9日

意見広告

 市民意見広告運動というところから、「九条実現」をめざす意見広告を、来年5月3日の憲法記念日に全国紙に掲載したいということで、その費用を募金するチラシが送られてきた。個人は一口2000円で最低目標額は3000万円とある。自民党の広報戦略費とは比べようのないはした金である。

 過去にも、目標額をこえて複数紙に広告した実績がある。しかし、新たな情報を持たない標語化したこの種の広告に、どの程度の効果があるのかかねがね疑問を持っていた。1万人が意見広告に参加し、1万人がデモ行進をしても政治を変える力にはならないのが現実だ。

 しかし、自分と同じ意見を持つ人達が懸命に努力をしているのを、落胆させるようなことはしたくない。10000人が10001人になるよう、最低限の協力はしていくことにしよう。それが百万人になり一千万人になる日があることも信じよう。それ以外に自分にできることはない。

 チラシの末尾にホームページへのリンクができる人は協力してほしい、とあったので、その表示を付け加えておく(復刻版省略)。

2005年11月10日

靖国と政党

 今朝の各紙は、国立追悼施設建設をめざす超党派の議員連盟が9日に設立されたことを報道しました。会長・山崎拓自民党前副総裁のよびかけで、自民党・福田康夫、公明党・冬柴幹事長、民主党・鳩山幹事長などの各氏が参加したことを報じています。

 超党派といっても、共産党・社民党などは含まれてません。呼びかけなかったのか、参加を拒否したのか、とにかく新聞からは全く無視されています。自民党は小泉政権のタカ派外交に批判的なメンバーが出席して、党内がこの件で二分していることを示しましたが、その他の各党も混乱していることを毎日新聞が次のように伝えています。

   公明党には議連が「反小泉の動きと見られてはまずい」(幹部)との警戒感が働く。民主党にも「山崎氏がどういう考えでやっているのか分からないし、公明党を利するだけにもなりかねない」との懸念から、当初は積極的だった前原誠司代表も出席を見送った。

 みなさん。どういうことなのか理解できますか?。各党ともまとまった理念がなく小泉独裁の前に右往左往するだけ。「政党政治」に愛想がつき、「大政翼賛政治」にひた走った戦前の愚を繰り返さないよう、監視するしかありません。「ぜんげんてっかい」を漢字転換したら「前原撤回」とでた、なんてしゃれにもなりませんものね。

2005年11月11日

天皇制

 これまで昭和天皇に関する記事を3回ほど掲げた。個人的な体験が中心の「天皇と戦争」およびハーバート・ビックス著『昭和天皇』の読後感を書いた『昭和天皇論』1および2である。また、何度か言及しているが、昭和天皇は、講和条約締結を機に何もいわずに、あるいは新憲法のもとで平和な日本国が続くように、という口実で退位すべきだったのである。

 現在ある天皇制は、GHQと日本政府の合作でできあがった憲法と東京裁判の決着で維持されたものであることが、ここ十年ほどの間の研究(吉田裕『昭和天皇の終戦史』他多数)で明白になってきた。したがって現憲法の自主性や東京裁判の結末を批判する「歴史修正主義」の立場にいる人は、昭和天皇の戦争責任が法廷で糾弾されたり、占領政策が破綻をきたす危険をさけるべきではなかった、という主張につながる。

 日本の天皇が万世一系であるとすることには疑問があり、まして神武即位以来2660数年の歴史があるなどは虚構そのものである。しかし長い歴史の中、激しい消長を繰り返しながらも天皇家が民族や文化を支える上で特異な存在でありつづけたことは世界に全く例を見ず、日本の捨てがたいアイデンティティのひとつであろう。

 憲法については、基本的に改訂の必要なし、とする立場なのでそのままでいいのだが、注文があるとすれば、天皇家に国民並みの人権を保護すること、海外派兵に拒否権を与えること、さらに国民主権の立場から第一章におく必要はないのではないかという気もする。

 いずれにしても、明治以来醸成された皇国史観を復活させようなどの考えは、宮中にもないだろうし、ふたたびその愚を繰り返すようでは、今度こそ日本の滅亡に一歩を踏み出すことになると知るべきだ。

2005年11月12日

自衛の限界点 1

仮想定例委員会(出席者:硬、乙、平、停)

*平 「国には自衛権がある。集団的自衛権も存在するが行使はできない」。これがいままで政府のいってきた憲法解釈の公式見解だ。>

*硬 自衛を口実に外国に軍隊を侵攻、占領するような国と同盟関係があっても、自衛隊が海外に出かけていってそれに参加することができない、ということでしょ。アフガニスタンとかイラクとかの出動は、すれすれというか、特にイラクについては限りなく黒に近い。

*乙 だから自民党や民主党の一部が改憲しようといっているんでしょ。その人たちだって内心はそう思ってる。

*平 当委員会のこれまでの議論は、9条1、2項を変えず、新しい事態として自衛力増強や人的国際協力の必要が出てきたのであれば、最後に新しい章を設けてその任務を高らかにうたえばいいという線だ。まず「自衛とはなんぞや」から始めよう。

*停 今6カ国協議で北の核兵器が云々されているけど、なにも核兵器でなくていいんだ。ミサイルで敦賀や柏崎の原発がねらわれたら一発でチェルノブイリ再現だ。また沿岸の長い日本は、工作船を使ったテロ活動にも弱い。それで先制も報復もできないようでは自衛不能ということになる。

*乙 そうなんだ。今までハト派もタカ派も口にこそださないが「そこは日米安保がある」という暗黙の了解があったように思う。また、相手国の良識や善意に頼るというだけでは説得力がない。私は、ミサイルが日本に向けられ、燃料積み込みが衛星などで探知された段階で、発射装置を先制攻撃して発射不能にすることは、緊急避難として許される、つまり自衛の範囲に含まれると考えたい。ただしアメリカのイラク攻撃のように、証拠がないスパイ情報による先制攻撃はだめだがね。

*停 いままでにない踏み込んだ発言だね(感心)。報復攻撃という抑止力を持つことはどうだろう。

*乙 今日の毎日新聞ニュース展望にあるが、81年にイラクの原子炉がイスラエルの爆撃を受け、また90年春にはフセイン大統領が「イスラエル半分を化学兵器で破壊する」と語ったそうだ。フセイン発言は核攻撃への反撃を示唆したものだが、化学兵器での報復を抑止力にしようとしたことは明らかだ。こういった大量破壊兵器をバックにした抑止力は、基本的に「武力による威嚇」につながるのでできない。「わが国も核兵器を持つべきだ」という一部政治家の発言だけで、周辺国がどれだけ過敏に反応するかを見ればわかる。

*硬 大量破壊兵器は、民間人を多く巻き込むんだから他国でなければ使えないものねえ。何人殺されたからそれ以上を殺すというのは、報復の連鎖になるからやらない、という発想でいいのか。

*乙 そう思っている。しかし、憲法であの兵器はいい、これは駄目など書けないよね。時代や技術の変転があるから、まず基本姿勢をはっきりさせる。それから具体的な事例を当てはめるしかない。自民の木に竹をついだような改定案では、またまた解釈改憲続出という事態が避けられない。

*平 足りない部分はまた次にしよう。

2005年11月13日

自衛の限界点 2

仮想定例委員会(出席者:硬、乙、平、停)

*平 以前ののエントリー「今こそ戸締まり論」で、国土防衛に必要なら、金がかかってもミサイル防衛システムを考えてもいい、といいましたよねえ。

*乙 超ハイテク兵器で、技術的困難があっても、着弾点まで軌道計算して迎撃するという、純粋な防衛システムならね。ただ共同研究するアメリカが、その技術を攻撃用兵器に転用するとなると困るね。

*停 係争中の領土問題や領海侵犯にはどう備えたらいいかだが。要は侵入不審船などに対する監視機能を持ったハイテク飛行機と船、そして領空・領海外に追っ払う能力を持つということか。

*乙 それが一番肝心だ。海軍だから、などといって身分不相応な大型軍艦など持つ必要はない。海上保安庁体制の徹底的強化でいいと思うよ。今時、上陸用舟艇で日本に上陸作戦をかけてくる国などあるわけがない。それから領土問題は、時間をかけても話し合いで解決するというのがだんだん国際慣習になってきた。

*平 次に国際貢献だが、災害復旧と平和維持活動と両面があるね。

*硬 津波や地震などの際の緊急救援活動が注目を浴びているが、これらは国内もふくめて、陸上自衛隊がやってきたことを本来任務にするべきだ。(一同賛成)

*停 平和維持活動では、やはり小火器までとか?。

*硬 人殺しにきたのではない、占領しにきたのではない、お手伝いにきたのだ、ということだから本来は丸腰だよね。だけど、武装警官並みのものは持たせたいというが現実だ。

*停 死傷者が出ると大変、というが国内で仕事をする警察官や消防士だって死と隣り合わせのことがあるんだから、危険だから軍隊並みという理屈はおかしい。そうではなくて停戦監視などPKFの仕事をするためには、軍隊が必要というならわかる。これはもうまさに戦闘地域だからね。

*乙 国の姿勢さえはっきりさせておけばいいのだ。憲法で「戦争はしない、軍隊は持たない。そのかわり国土を侵略や災害から守り、その能力を国際的に活かせる組織は持ちます」とはっきり宣言すればいい。組織の名前は警護隊でも保安隊でも何でもいい。そして前にもいったが軍隊を思わせる迷彩服などはやめ、明るい目立つ色を使う。大量破壊兵器は持たない。そうすれば個々の装備など自然に決まってくるし、少々のことにこだわる必要もなくなる。

*平 アメリカと同じことをしたいから「軍」に変えようという魂胆には、断固反対だ。よそからいわれるからでなく、自分のことは自分で決める国に早くなってほしい。

*乙 日米安保条約はそのままでもいいはずだが、解釈改憲で積み上げてきた軍事協力が崩れることになるので、日米当局にとっては打撃だろうね。それでもなおかつこれを乗り越えなければ、日本には誇るべき明るい未来がなくなってしまうような気がする。

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