2018年2月24日 (土)

トランプとアメリカの病根

前回「トランプ、歴代最低大統領」を書いた。その最高のお友達を任ずる安倍首相、日本のブログだから、これまでは安倍首相いびりをしていればよかったが、トランプの異常さは、アメリカだからといって見過ごせない段階に達した。

報道によると、学校内の銃乱射事件を受けて銃規制を求めて抗議する高校生に、大統領が解決策として校内に先生をはじめ20人程度に銃を持たせると言い、加えてあらかじめ訓練をして、ボーナスまで払うという。まさに狂気の沙汰だ。

学校を戦場とし、雇い兵を置くという世界に例を見ない発想が通るのだろうか。アメリカは、ウイルソン大統領が第一次大戦後、戦争の惨禍をなくしようと国際連盟を作ったのをはじめ、オバマは反核を訴えてノーベル賞を受けた。

ところが、国際連盟には議会の3分の2の賛成が得られずアメリカは非加盟。オバマの時代のTPP同様、主に共和党の抵抗で実現を妨げられている。銃規制でもトランプは同じことを見越しているのだろうが、アメリカ人がどこまでトランプのフライングを許すのか、見極めなくてはならない。

アメリカの歴史は、孤立主義と国際主義の間を時計の振り子のように大きく振れてきた。どちらに立つにしても、政治が「好戦」指向になる。これがアメリカの病弊で、第2次大戦後、地域紛争を含めアメリカが関与していない戦争はないと言っていい。

「武器貸与法」がある国である。自分が戦争に参加しなくても、武器を使う国があればそれで武器製造業が発展する。したがって紛争大賛成なのだ。紛争や戦争がなくてもそれをあおるだけで最新兵器を買ってくれる国がある。

そんなことを考えると、銃規制が進まないのもなんとなく理解ができる。

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2018年2月22日 (木)

トランプ、歴代最低大統領

  毎日新聞(2/22東京朝刊)が伝える共同電によると、アメリカのボイシ州立大が、政治学者ら170人の評価に基づく米大統領経験者44人の格付けを行ったところ、現職のトランプ大統領は44番目の最下位。また「米国を最も分断する大統領」のランキングは首位であった。

格付けは、大統領や行政機関などを研究対象とする専門家が、外交、内政を含む総合的な「偉大さ」を100点満点で採点するもので、前回調査は4年前に行っている。

上位7人は前回と変わらず、リンカーンに始まり、ワシントン、フランクリン・ルーズベルトなどが入るが、前大統領オバマは18位から今回は8位に躍り出た。

日本ではなぜかこういった調査はない。ちょっと想像してみたものの、最低は日本を敗戦に導いた東条首相だろうか。しかし、塾頭は東京裁判で、他の被告が競って弁解に走った中、責任を一身に受けて天皇を法廷に出すような危険を防いだ点は買っている。

最下位がもしかして安倍首相だったりすると大変だ。日本の大学はそんなはしたない調査はしない。それが原因で助成金や寄付、志願者に圧力かかるかも、という「忖度」が働く。それであれば、アメリカのさらに下を行く国ということなになりかねない。

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2018年2月21日 (水)

自殺に見る「志」

東電福島第1原発事故による強制避難の対象となった福島県飯舘村で強制措置直前に自殺した大久保文雄さん(当時102歳)の遺族が、東電に計6050万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

福島地裁(金沢秀樹裁判長)は20日、「原発事故による耐え難い精神的負担が自殺の決断に大きく影響を及ぼした」と原発事故と自殺の因果関係を認め、東電に計1520万円を支払うよう命ずる判決をした。

そのニュースで、思い出したのがちょうど1ヶ月前に入水自殺した西部邁氏のことである。これは記事にしたが覚悟の自殺という点では同じだ。西部氏は前から、自殺をほのめかすような言動があった。自著の序文に「ある私的な振る舞い」を予定していたが、「予定日に衆議院選挙が行われると判明」「まずは社会にかける迷惑はできるだけ少なくせねばならぬ」と公言している。

そして塾頭は、「どうも凡俗には理解しきれない行動だ」を記事の結語とした。彼なりの主張があるものと推察されるが、それならば紀元前3世紀、楚の時代の屈原が汨羅(べきら)に身を投じた際残した『楚辞』を見習ってほしかった。

屈原はその時、郭沫若の推定によると62歳だったとしている。古典では100歳を越えるような伝記が珍しくない時代だが、今なら80歳を下るまい。大久保さんは享年102歳である。そして西部氏が78歳、親と子ほども年が離れている。

何も語らない大久保氏、美しい詩と伝説を残した屈原、何か思わせぶりな西部氏。大久保氏が東電に抱いていた気持ちはわからない。その無言の中に、明治時代残っていた武士道の影がうかがえる。

『楚辞』「九章」(一部)

私はひたすら君に仕えて身を顧みなかったが
ああ、それは衆人に仇とされるところだった
ひたすら君を思うて余念なかったが
それはまた衆人に敵とされるところだった

心をいちずにしてためらわなかったが
ああ、それは身を危うくすることだった
つとめて君に親しんで余念なかったが
心に禍を招く道があったのだ

(目加田 誠『屈原』岩波新書)

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2018年2月20日 (火)

杞憂×機憂

広辞苑(抜粋)

き・ゆう【杞憂】[列子](中国の杞の国の人が天地が崩れてくるのを憂えたという故事に基づく)杞人の憂い。取り越し苦労。――に過ぎない。

毎日新聞電子版より

20日午前8時40分ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)を離陸した同基地所属のF16戦闘機のエンジンから出火するトラブルがあった。米軍から防衛省に入った連絡によると、同機は外付け式の補助燃料タンク2個を基地の北側にある小川原湖に投棄し、約3分後に基地に引き返して着陸した。けが人や被害が出たとの情報は入っておらず、同省が詳しい状況を調べている。県警は有害物質が含まれている恐れがあるとして、付近の市道を通行止めにした。【北山夏帆、前谷宏、隅俊之】

このところ連日のように自衛隊機の墜落、米軍機の不時着、部品の落下といったニュースが続く。これを「機憂」といおう。この方は取り残し苦労でなく、いつ災難に遭ってもおかしくない。くれぐれも空にご用心。

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2018年2月19日 (月)

銃規制と北朝鮮

前回は「中朝関係の複雑さ」についてであったが、今回は北朝鮮が核使用を凍結すればアメリカが北との対話に応ずるのではないかという、憶測を書きたい。

これには、しかるべき要人のコメントとか裏付けのとれる根拠はない。アメリカ国内で発生している重大ニュースをめぐってアメリカ人の心情にゆらぎが見えれば、それが国際問題に反映することもあるのではないか、という類の素人観察である。

外務省であろうがマスコミであろうがそういった直感だけで仕事をすることはできない。しかし政治のトップにいる人は、心情のゆらぎを機敏に捕らえて外交の流れから取り残されないようにしなければならない。その点、日本の外交はいかにも硬直的で心許ない。

そんなことを感じたのは、フロリダ州における銃乱射事件で大量の死傷者を出したことである。想定されてはいたが、トランプ大統領は見舞いの挨拶だけで、銃規制には全く触れなかった。

この類のニュースは何度繰り返されてきたことだろう。食傷気味とはいえ、今回はやや違うようだ。規制促進派の声が勢いを増し、NRA(全米ライフル協会)のロビー活動により、数千万ドル(数十億円)に上るという寄付金の恩恵を受ける政治家は、「恥を知れ!」とばかり集中攻撃にさらされようになった。オバマ前大統領も政策転換に向けた策動を始めたという。

それでも、個人の身を守るために武器を持つ権利が憲法で保証されており、建国以来続いてきたアメリカの伝統を破壊するという、共和党を中心とした保守派の根強い意見は、簡単に崩せない。

議論が高まってくれば、戦場で使われるような殺傷能力の高い自動小銃などに目が向けられる。個人が武装する権利、州が武装する権利で、どこまでの武器なら許されるのか。国のレベルに置き直すと、北朝鮮の主張とアメリカの規制反対派の主張が重なってくる。

アメリカ人には権利があるが、北朝鮮人にはないといえば、アメリカが批判の的とする「人権」の否定につながる。核の開発や行使を凍結させても、所持禁止という理屈はどう見ても成り立たない。

これを機に、核拡散防止法の限界が改めて議論されることになれば、北朝鮮との話し合い解決もあり得るということになる。トランプや幕僚の発言が大きく揺れるのは、そのあたりの機微をすでに読んでいるということではないか。

 

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2018年2月17日 (土)

中朝関係の複雑さ

平昌オリンピックは、北朝鮮に占領されたかの感があったが、レースが進むにつれて影が薄くなった。これから、文大統領の訪朝があるかどうか、オリンピック後の動きに注目が集まる。

「対話のための対話はしない」と目くじらを立てているのは、わが安倍首相ぐらいで、金正恩のもくろみが試されるのはこれからである。相次ぐ国連安保理決議などで制裁を強化することは当然ながら、話し合いを一切禁止しているわけではない。孤立するのは北朝鮮でなく日本になってしまうのではないか、とこのところ書いてきた。

アメリカも、条件が整えば話し合うという立場だ。トランプは体制転覆などを期待してない。日本が大きな誤解から解き放されていないことがひとつある。中国は最も効果的な制裁手段を持ちながら、血の盟約を持つ社会主義国同士なので手加減している、という思いこみである。    

安倍首相は北朝鮮を全く信用していないが、北朝鮮が核保有国になることを恐れ、その言動を信用しないのはアメリカや日本でなく、実は中国なのである。核実験場は中国との国境に近く、放射線漏れなどがあればたちどころに中国が被災する。また北朝鮮が中国を攻撃するにはICBMなどを必要としない。

もちろん、北朝鮮がレッドラインを越え、アメリカがミサイル基地を叩くようなことになれば、中国に直接危機が迫る。中国軍が国境を越え何らかの行動を起こす可能性なきにしもあらずなのである。

金正恩の父、正日が、「中国だけは絶対に信用するな」と遺訓を残したという話は前にも書いた。このところ北では「アメリカ・日本100年の敵。中国は1000年の敵」とう格言すらあるようだ。

聖徳太子が中国と国交を結んだ随の国は、今の北朝鮮、高句麗と戦乱に明け暮れして国境線もあってないような状態が続いていた。業を煮やした随が大軍を差し向けたものの、その負担が農民に降りかかって反乱を招き、滅亡するに至ったことさえある。

その反面、日韓併合直前は清の朝貢国として、その清が日本に破れると南進攻勢に熱心なロシアに頼るなど李王朝は自主性をなくしていた。そこで中国やロシア、もちろんアメリカにも頼らない金日成の「主体性理論」が生まれてきたのだ。

遼東半島から鴨緑江に沿った中国側、沿海州のあたりまで、現在も朝鮮族が多く住む。チベット族、ウイグル族などと同様、少数民族として中国の安定に欠かせない内政問題の一角をなしている。中国の主人公を任ずる一般の漢民族は、それをどう見るか。塾頭の体験談からひとつ。

万里の長城に向かう観光バスのガイド席の近くに座った。途中会話の中で……

「バスガイドの競争相手は、東北出身の朝鮮人が多いんですよ。彼らは頭がいいし、前は日本人として育ったこともあるので日本語がうまい。しかし彼らのいうことをそのまま信じてはいけないようです」

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2018年2月15日 (木)

今、国家主義全盛

トランプ大統領の「アメリカン・ファースト」。日本のメディアは、「外国から見た日本」企画が氾濫。西欧の難民増加にともなう国家アイデンティティー追求。そして英国のEU脱退の動きなど、戦後長く続いてきた「国際化時代」の反動ともとれる「国粋主義」の時代になった。

今朝、新聞の投書欄に、憲法9条維持の署名簿が回ってきた家庭の主婦が、20歳になった息子に協力を求めたら「僕、戦争に行くもん」と拒否され、愕然としたという内容があった。

安倍首相の内閣支持率が不支持を上回り、自民党が最高位を占める世論調査も固定化しつつある。その傾向は若者に顕著だとされる。なぜそうなのか、日本の場合、北朝鮮・中国関連報道で日本が敵視されているという印象ができあがったのだろう。安倍周辺がことさらそれをあおっているせいもある。

日本の戦争参加や敗戦は、国家主義または国粋主義がもたらしたというのが、かつての常識だった。それが今、完全に忘れ去られたようだ。その典型が明治時代に作詞された戦時歌謡である。これは過去4回取り上げたがも一度見てほしい。

敵は幾万ありとても
すべて烏合(うごう)の勢なるぞ
烏合の勢にあらずとも
味方に正しき道理あり

(じゃ)はそれ正に勝ちがたく
直(ちょく)は曲(きょく)にぞ勝栗の
堅き心の一徹は

石に矢の立つためしあり

石に立つ矢のためしあり
などて恐るる事やある
などてたゆとう事やある

 まず、敵はカラスのように声が大きいが弱い、そうでなくとも、味方には「正しき道理」つまり「正義」がある。邪道は誠心誠意の正義には勝てないし、奇跡が味方してくれることもある。だから疑いを持たず突っこめ!という趣旨だ。

「敵は弱い」、太平洋戦争はこれを見誤った。「正義」、これは敵にもそれに劣らぬ「正義」がある。北朝鮮の「正義」は、日本人拉致や人権問題なども、完全に覆い隠す。ISの自爆テロも正義の行為だ。彼らの「堅き心の一徹」はいうまでもない。

この際「国」単位でものを考えるのはやめよう。国家はいつでも正しいことをいうとは限らない。むしろ、党利党略や権力維持のためならあえてうそをつく。それを、若い人はしっかりと身につけておかなければならない。

【追記】そういえば、10年以上前の07年12月1日付けで「希望は戦争」という文章を雑誌に発表した赤木智弘さんについて記事を書いたことを思い出した。

安倍首相が「何もかもうまくいかなくなっていやになっので辞めい」といって内閣を投げ出した年である。

若い赤木さんは、若者の内でも日の当たる人、そうでない人の格差は歴然としており、それを劇的に変えてくれるのは戦争しかないといった論旨だったように思う。

今日書いた塾頭の観測とは、大きな開きがある。しかし、10年間に顕著な時代の変化があったことも否定しがたい。いずれにしても、健全な社会からかけ離れていることだけは確かだ。

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2018年2月14日 (水)

 式子内親王

はかなくて過ぎにしかたを数ふれば
花に物思ふ春ぞ経にける

          新古今和歌集


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2018年2月13日 (火)

心的外傷後ストレス障害

戦争に参加して精神病にかかる患者がふえ、アメリカで今問題になっている。心的外傷後ストレス障害、略号ではPTSDという。どちらにしても覚えにくい言葉だ。

PTSは、ポスト・トラウマ・ストレス・障害の略とある。トラウマは、精神的ショックによる「病みつき」のような意味で日本語化しかかっているので、これを覚えておけばいい。

その中で、戦争に関するものを砲弾神経症(シェル=砲弾ショック)と区別することもある。この研究は、第一次世界大戦当時の塹壕戦の影響から始まったようだ。日本では塾頭の地元にあった国府台陸軍病院が専門に受け入れていたが、「痴愚」などの病名で治療と言うより拘禁永続のような扱いが戦後も続いていた。

アメリカでは、ベトナム戦争後、その戦争自体への懐疑からもストレス症状が起きた。戦闘ストレス反応は、戦争において精神的に崩壊する兵士が驚くべき多数に上ったことから認知されはじめた。

敵兵に限らず女子や子供、さらに友兵たちの手足が一瞬にして吹き千切れるのを見たり、捕虜となって孤立無援状態におかれた恐怖が精神に異常をきたすことになる。兵士たちがヒステリー患者と同じ行動をし始めたり、身体的には金縛りで動けなくなる、震えが止まらないとか健忘症に陥る病状が現れる。

日本では、このような臆病者は皇軍にいないと結論づけ、外部と隔離する必要があった。処罰と脅迫が唯一の対処だったのである。アメリカなどでは、これを士気の高い兵士にも起こりうるれっきとした精神障害であるとして、人道的治療が始まりPTSDという名称がつけられた。

近年は、兵士を戦場に出すケースが減り、無人機爆撃ばやりである。ところがこの操縦者にPTSDを発症する率が高いことが分かってきた。衛星経由でアメリカから遠隔操作が可能であるため、操縦員は戦地に派遣されることもない。

任務を終えればそのまま自宅に帰り子供と遊ぶこともできる。このような無人機の運用は操縦者が人間を殺傷したという実感を持ちにくいという意見があるが、敵を殺傷する瞬間をカラーTVカメラや赤外線カメラで鮮明に見ることが無人機の操縦員に大きな精神的ストレスを与える。PTSDを発症するのは現地に派遣される兵より高い割合になるとも言われ、社会問題化は避けられない。

 

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2018年2月11日 (日)

こんどは日本が孤立?

 前回の「金・文架空会談」が、まんざら架空でもないような雲行きになってきた。金は韓国に訪れた金正恩の妹・与正、或いは北朝鮮ナンバー2の金永南、金正恩のいずれでもいい、文は当然韓国大統領だ。やや長いが、本日付け毎日新聞・東京朝刊から引用する。

(前略)
 「いつの日か、かつてのように北南関係が発展する日が来るでしょう。文大統領が統一の新しいステージを開く主役となり、後の世代のために道筋を付けてくれることを期待しています」。金与正(キムヨジョン)氏は、会談後の昼食の際、こう文氏を持ち上げた。(中略)

 妹である金与正氏を特使として派遣した金正恩氏の狙いは、歴代韓国大統領が抱いている「朝鮮半島の統一に関して歴史に名前を残したい」との気持ちをくすぐり、核問題は放置したまま、対北経済協力をなし崩し的に進めさせることにあるとみられる。

 青瓦台(韓国大統領府)関係者によると、会談と昼食を通じて、発言そのものは金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長の方が多かったが、重みのある発言の大半は金与正氏が行った。金与正氏はA4判用紙1枚の金正恩氏の親書を文氏に手渡した。

 文氏は訪朝提案に「条件を整えて実現しよう」と前向きな姿勢を示したが、訪朝条件は明確に示さなかった。核・ミサイル開発や五輪・パラリンピック後の4月にも実施されるとみられる米韓合同軍事演習など国際的な懸案事項は議題にしていない。1月の南北閣僚級会談で韓国が非核化を要求したことに北朝鮮は強く反発した経緯があり、文政権発足後初の南北首脳級会談となった今回は信頼構築を優先させた形だ。

 文氏は昨年5月の就任直後の演説で「条件が整えば平壌にも行く」と言及するなど南北首脳会談への意欲を繰り返し示していたが、「核問題解決のためにプラスになるなら」と条件を付けていた。ただ、今回の発言については、青瓦台高官が「訪朝要請を受け入れた」と説明した直後、別の高官が条件付きであることを強調するなど、韓国政府内にも温度差がある。青瓦台関係者は、「南北間だけですべて解決するわけではない。米朝対話や核問題の進展があるべきだとの考えをにじませた」と文氏の思いを解説する。

 文大統領は公約でもあるし、虎穴に入らずんば虎児を得ずの意気込みで訪朝するだろう。また、金正恩は文大統領を手ぶらで帰らせて、自分が仕掛けた平和攻勢の腰を折るようなことはしまい。

 これまでの強硬孤立姿勢と核凍結・南北融和を天秤に掛ける、さらに在韓米軍撤退の筋道がつけられれば、金正恩の権威が増しても失墜することはない。アメリカも米韓同盟が維持されれば韓国から撤退するのにそう抵抗はないだろう。

 今の安倍政権なら、その分日本が肩代わりせよと言われれば断れない。米韓が緊密な連携のもとで南北対話が進行するのなら、トランプに反対する理由はない。北朝鮮に変わって日本が孤立するだけになる。

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