2018年10月16日 (火)

中東の混とん状態

日本経済新聞10/16

【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアの記者がトルコのサウジ総領事館で行方不明になっていた事件で、複数の米メディアは15日(日本時間16日未明)、サウジ政府が従来の立場を覆し、館内での殺人があったことを認める検討をしていると報じた。

(中略)CNNテレビによると、サウジは政府批判を繰り返していたジャマル・カショギ記者を本国に連れ戻す目的でおこなわれた尋問中に、同氏が死亡したことを認める準備をしている。作戦は許可なく不透明な形で実行され、作戦にかかわった者に責任があると結論づける可能性があるという。一方、状況は流動的で、変化する可能性があるとも指摘した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)も同日、サウジが政府の直接の責任を否定する形で、総領事館内の殺害を認める声明を出すことを検討していると報じた。発表時期は未定で、声明を出すかどうかの決断も下していないという。(後略)

この話、一度記事にしようと思ったがあまり非常識すぎる話なので続報を待った。どうやら本当らしい。サウジ政府の責任にしない意向というが、こんな無茶なことを指示できるのは実権を握ってやりたい放題のことをしているムハンマド皇太子しかない。

世界の石油を支配したアメリカとサウジの蜜月時代も、トランプ大統領でさえついていけない皇太子の傍若無人ぶりで断ち切れることになるだろう。

サウジは国内にメッカ・メジナのイスラム教聖地があるため、国や宗派の別なくイスラム教徒の任務とされる聖地巡礼に便宜をはかり、9割を占めるスンニ派の盟主の地位も維持してきた。

様相が変わってきたのは、やはり大国であるシーア派のイランと激しく対立するようになったことである。イエメンの内戦に空爆で介入したり、同盟関係にあったシーア派の多いカタールと国交断絶するなど、イラン敵視を鮮明にした。

これは、シリアでIS掃討に加わって勢力を増してきたイランがイスラエルを脅かすことを心配しているイスラエルべったりのトランプにとっても朗報である。新鋭戦闘機などの大量武器輸出も視野に入れてきた。

ところが事件が起きたのが、やはりイスラム大国のトルコである。トルコはNATO加盟国でありヨーロッパに近い。サウジの挙動を容認できるはずがない。もう一つの大国、エジプトもシナイ半島の国内問題で手いっぱいだろう。

こうなると国連に頼るしかないが、今の安保理にその能力があるとは思えない。泥沼は果てしなく続くのか。

 

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2018年10月15日 (月)

尖閣を考える

尖閣諸島問題で日中間の対立が最も先鋭化したのは、なぜか鳩山内閣から野田内閣の民主党政権下である。2010年の体当たり漁船逮捕、身柄拘束に始まり、最後は、石原都知事が民間から買い上げようとしていた魚釣島などを政府が国有化したことに中国が反発した。

その後も、挑発行動などは続いているが、このところ、かつてのような先鋭化を避けているように見える。

その背景にあるのは、米中の対立(覇権争い)で、互いに関係各国の支持を取り付けようという水面下の競争が働いているのだろう。15日付けの毎日新聞(東京・3面)では、中国が日本との第三国協力に転じた背景には、習金平国家主席が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に吹き付ける逆風があるとしている。

つまり、中国の鉄道計画や港湾開発などインフラ整備のため沿線各国への多額な融資をすることにより、債務超過が憂慮されたり、沿線の不動産開発先行で中国支配の懸念が警戒されるため、日本との連携により計画を再構築する必要があるという。

急がば回れということである。東シナ海や南シナ海が緊張するようでは計画がとん挫しかねない。もう一つ、習金平は毛沢東以来という独裁体制を得て軍部への支配力を不動のものにしたた。もはや無人島の実効支配などにこだわる必要を感じなくなったのだろう。

中国の最大の眼目は、アメリカとの経済戦争に打ち勝つこにある。安倍外交はそれをうまく利用しているという面では効果をあげている。

さらに言えば、こういった機会に尖閣問題を交渉で解決の道を探るような機転が働かないものか。

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2018年10月13日 (土)

韓国の稚気

今月6日付けで「慰安婦・旭日旗」という記事を書いた。それから1週間の今日、昨日開かれた韓国の国際観艦式で「自国旗と韓国旗以外は掲揚しない」という原則を各国に通知していたにもかかわらず、国旗と軍艦旗が同じ米国などを除く7カ国が軍艦旗を掲げた。韓国の旗艦は16世紀末に豊臣秀吉の朝鮮出兵軍を破った李舜臣(イ・スンシン)将軍の旗も掲揚したことが報じられている。

前回の記事は、反日の稚気を国際問題とする韓国の恥ずかしさを問題にしたものだが、以上の措置をとったことに文大統領も説明のつけようがないだろう。日本政府は早速抗議を申し入れたが、各国もあきれているのではないか。

北朝鮮との融和が最大関心事の文大統領の心の底には、南北2国が融和・共存する時代になると両国のバランスを、「反日」で競う時代が来ると内心踏んでいるのかもしれない。

両国と、米中ロの5か国が戦争終結に向けて連絡・調整をとりあう中、安倍首相の反対発言もあって旧・6か国協議からはずされている。「おいてけぼり」がはっきりしてきたことは、マスコミの論調でも指摘している。文大統領もそんなところを見こしての行動だろう。

 

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2018年10月12日 (金)

昭和の人

(『新訂・海舟座談』岩波文庫)抜粋

ワシはもと西洋人の言うた七年一変の説ネ。アレを信じているのだ。どうも七、八年ないし十年にして人心が一変するよ。水野から阿部、それから井伊ネ、その跡を推して見せると直にわかるテ。しかし、水野、阿部と人をさして言うから、間違うのだ。勢いの移り変わりだから。水野の時は、外国のために準備すると言って、八釜しいことであった。阿部の時には、水戸が勤王攘夷とか言うて、騒々しかった。西郷らが王政復古をしたそのつど、あとから見ると、先の事が馬鹿らしく見える程に、勢いが変わってしまう。

来年は平成最後の年になる。それでは昭和最後の年、平成最初の年には何が起こったか。

国民に初めて消費税が課せられ、ベルリンの壁が崩壊して冷戦が遠のく。さらに昭和天皇と同じ年に亡くなられた方をあげてみよう。10人以上業績や顔浮かべばあなたは昭和の人だ。

1/7昭和天皇(87)、2/9手塚治虫(60
3/20五島昇(72)、 4/10色川武大(60
4/11島岡吉郎(77)、4/14西堀栄三郎(86
4/27松下幸之助(94)、5/2春日一幸(79
6/24美空ひばり(52 6/25尾上松緑(76
7/29辰巳柳太郎(84)、8/18古関裕而(80
9/27
谷川徹三(94)、12/9開高健(58
12/12田河水泡(90

20世紀年表』小学館、より

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2018年10月11日 (木)

厄介な日本語「首長」

新聞を読んでいたら「福島県の高校生が首長」ここで行が変わった。一瞬、「町長か市長になったのか?」と思ったら、続けて、竜「フタバスズキリュウ」の化石を発見して50年……となっている。

せめて「くびながりゅう」とルビがあればまちがえない。テレビで市町村長を言うときは「首長」を「しゅちょう」とは言わず、主張や市長と聞き間違えないよう「くびちょう」と重箱読みにする。

本来、「首」は胴体と頭をつなぐ「くび」れた部分を言う言葉だ。

首相や首脳陣の「首」は胴体の上全部を頭部として言う。くびを切るという表現は頭だけでなく、そこから身体全体をなくしてしまうことを意味する。首には3種類の解釈があるのだ。

話が横道にそれたが、件の高校生は、学術上画期的な功績を世界に残したということの記事で、どこかの首長や首相では遠く及ばないということを改めて感じてしまった。

 

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2018年10月10日 (水)

公明党の寿命

『週刊ダイヤモンド』10月13日号は、特集を「新宗教の寿命」とし、創価学会をトップに11の教団をあげて分析している。関心は政権与党・公明党のバック創価学会だ。

その中に一般紙や聖教新聞などでは触れることのない内幕が記されており、安倍政権の9条改憲について、公明党が歯止めの役割を果たすか――という期待が幻影と化す可能性が見えてきた。

このままでは、安倍首相の思惑になにがしかの手を加えることがあっても、結局は首相に手を貸すことしかできないという結論になってしまう。

その理由は創価学会を平和追及の新興宗教として戦後爆発的に育て上げた3代目会長・池田大作氏が1981年に会長職を譲り、任期の定めのない名誉会長となった。以後会長は北条・秋谷氏と受け継がれ2006年に現職の原田稔氏が就く。

しかし、池田氏のカリスマ性は消えないものと見なされていた。それが前掲誌によると創価学会は、原田会長・谷川佳樹副会長ら「4人組」と呼ばれる執行部に実権を握られるようになり、例年執行部が慣例としていた池田名誉会長の誕生日1月2日に行われる池田詣でが、今年は家族から拒否されるという異様な事態となった。

池田氏は90歳という高齢で目下療養中ではあるが、これまでになかったことだ。どんな変化があったのか、以下同誌を引用する。

執行部は近年、創価大学派閥など池田家に近いと目されていた側近などを次々と粛清する一方、学会の憲法に相当する「創価学会会憲」を昨年制定し、組織運営から教義に至るまで全権を原田会長に集中させるなど池田外しともいえる動きを加速させている。それを不快に感じている当の池田氏側が面会を拒否したというのである。

同時に古参有力信者が公明党の集団的自衛権容認などを批判すると、執行部批判など会憲で定めた「ふさわしくない行為」に当たるとし、除名処分や役員解職などが次々と行われている実態をレポートしている。

それでなくても会員数は減少の一途をたどっており、それが最近の選挙結果にも表れている。つまりなにかのきっかけで、いつ自民党の補完勢力としての寿命がつきるかもしれないといっているのだ。

喜んでいいのか悪いのかは別として、世相や政治に動乱の季節が目前に来ているような気がしてきた。

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2018年10月 9日 (火)

首都圏・沖縄の共通点

新聞休刊日の今日、TVのニュースショーは、築地市場の豊洲移転で市場お休みとか貴乃花問題蒸し返しなど気の抜けてようなテーマの繰り返し。

その中で圧巻だったのがテレビ朝日の羽鳥モーニングショーだった。番組紹介のかわりに昨日の新聞ラ・テ欄をたしかめるとこうある。

羽田空港新ルートピンチ! アメリカとの合意まだ……。これだけ見ると空港の東京市街上空を通過する新ルートが騒音問題などで未定になっているという、これまでの報道を取り上げただけかと思うが、中身は違った。

横田基地の存在を理由に、東京都の大部分と埼玉、神奈川、群馬上空の航空管制権が日本になく、日本の飛行機はそこを避けて迂回を余儀なくされているという、占領以来続いている治外法権の詳しい内容だ。

事故が起きても日本の法律は適用されず、その判断はアメリカに有利なものになるという、まさに沖縄住民が抱えている不安と同じ状況が首都圏にもあることに国民が気づいていないという点を改めて指摘した。

このような不合理は、同じ敗戦国であるドイツ・イタリアにも存在せず、国際的に見ても異様な関係になっている。問題は日米安保条約である。条約本文にはそんな表現はない。問題は「地位協定」である。

歴代政権は民主党なども含め、この改定に取り組んでこなかった。むしろ外交上はノータッチでいることが友好維持のかなめと考えていた。唯一大きな声をあげていたのは、石原慎太郎だけである。

現・河野外相もそのことはよく承知しているが、担当大臣となったことで口封じ同様の立場になってしまった。そこへ起きたのが、翁長氏に代わる玉城沖縄県知事の出現である。

今こそアメリカに相談を持ち掛ける絶好のチャンスである。米軍の存在によって、空路の遠回りを70年以上も続けざるを得なかった日本の損害や負担金の額は、計算できないものの関税不均衡などに劣らないのではないか。

そういったことを感じさせる番組だった。

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2018年10月 8日 (月)

スラウェシ?

 「スラウェシ島」で津波の被害?……あッ、セレベスのことか。ボルネオの東、F字型の大きな島だ。「ボルネオ」ではない、カリマンタン?。東南アジアはタイなどの王国を除いて、戦前まで英・仏・蘭などが植民地とし区域も一定しなかったので呼称もまちまちになる。

 戦時中、仏印と蘭印という言葉はあったが、島はボルネオ・セレベス・スマトラ・ジャワなどと呼びならわすのが常だった。シンガポールは日本の占領で「昭南島」に変え、地図を赤色にする。

 旧称ビルマのミャンマーは今、イスラム教徒との住み分けで内戦状態となっているが他の諸国でも同じような悩みを抱える。この先、第2の中東にならないよう日本は何ができるのか。

 災害救援もいいが、価値ある外交とはそういったことも考えておくことだ。

 

 

 

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2018年10月 6日 (土)

慰安婦・旭日旗

 お気づきのように、本塾には韓国・北朝鮮関連の記事が多い。中国を含め、東アジア共同体というカテゴリーに入れている。自著に『周辺国に向き合う日本人の歴史』があるので、自然、そうなる。

 だから、好意的に見ているという評価もあるだろう。しかし、どうしても解せないのが慰安婦問題と旭日旗問題だ。慰安婦問題は、強制連行があったかどうか、性奴隷的な扱いがあったかどうかが問題で、特定個人の事案であり当時の慣習や制度をあげつらうのは的外れというしかない。

最近クローズアップされているのが旭日旗問題。日本の軍国主義を象徴しているというなら、旧陸軍の連隊旗が同じ旭日旗でその方を言うべきだ。連隊旗はたしかに日露戦争や日清戦争で使われた。

特に日露戦争では、激戦の先頭に掲げて突撃するので、旗の生地は抜け落ち、周りの縁取りの房だけになったものを連隊の名誉の象徴として大事にされた。連隊旗は天皇陛下から下賜される貴重な旗で再発行はされない。

朝鮮人に向けて使用されたことはないものの、戦後の陸上自衛隊はそのデザインを採用しなかった。軍艦旗も旭日デザインで似ているが、天皇からの下賜ではなく、海軍所属艦船の標識として、連隊旗同様、明治のはじめから伝統的に使われている。海上自衛隊はそれを継承した。

韓国紙も過剰反応に気が付いているせいか、アメリカなど他国にそういう例がなく、デザインが似ている朝日新聞の社旗にも触れている。

朝日新聞主催の野球とかマラソンには応援用に一般に配られているが、軍国主義とは無縁だ。日本にもヘイトスピーチという無分別行為はあるが、国を挙げてということはない。

ふたつの問題は、朝鮮民族の名誉のため、早く収束させてほしい。

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2018年10月 5日 (金)

教育勅語の幼稚園児並解釈

今日は、朝日・毎日の2紙が教育勅語を題材にしている。

森友学園の幼稚園で、教育勅語を園児に唱和させているのを聞いて感動した首相夫人が、首相の意をたいするような形で学園の名誉職についたことから同勅語の知名度は上がった。

そこへ教育勅語には、「現代風にアレンジすれば道徳の授業などに使える分野が十分にある。普遍性をもつ部分が見て取れる――」などと柴山昌彦・新文部科学相が就任会見で所論をのべたため、安倍新内閣の体質に危惧感を抱いたのが両紙社説の趣旨である。

これまでも、下村博文元文部大臣・稲田朋美元防衛相が持論としており、首相側近であった柴山氏なら言いそうなことだ。そこに日本会議が「明治の精神」の中核に据えようとしている謀略が見て取れる。

「教育勅語」のフレーズ検索で当塾へのアクセスも増えている。そこで勅語の文体そのものと読み方を掲載しているので参考にしていただきたい。

いつも私ごとで気が引けるが、8年間教育勅語づめの学習経験があり、その後は「戦後レジーム」をそのまま体験している世代だ。安倍首相などとは年季が違う。新聞などの指摘、教育勅語の「一旦緩急あれは義勇公に奉し」の部分だけでなく全体に目を向けてほしい。

教育勅語復活派は、出だしが「朕思うに」ではじまるので明治天皇直接のお言葉のように扱いたいのだろうが、内実は大分違う。明治時代は、中世の南北朝いずれが正しい皇統かが議論となり、天皇の意見を聞いたところ、明治天皇の先祖ではない南朝という答えがあったとされる。

したがって「皇祖皇宗国を肇ること宏遠に徳を樹つること深厚なり」という万世一系論を天皇が信じていたはずがない。「徳」は、後で出てくる「忠・孝」同様、中国・儒教ことに徳川幕府が教養の中心に置いた朱子学のものである。日本古来のものとする証拠が全くない。

当時自由民権思潮が盛んになり、福沢諭吉のような穏便な言論にさえ危機感を抱いた有司は、上からの国論操作を定着させる切り札がほしかった。

そこで当時「勅語メーカー」とか「影の総舵手」いわれた、井上毅らの手により、急ごしらえの案文を練り上げたものである。発布は、第1回帝国議会開会の一か月前、明治23年10月30日であった。

 

 

 

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